「しらける」のは当たり前2009/10/03 23:48:27

結局、コペンハーゲンで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2016年夏季五輪開催地は、リオデジャネイロ(ブラジル)と決まった。1964年から52年ぶりの開催を目指した東京は、1回目の投票こそ突破したものの2回目の投票で落選し、リオデジャネイロとマドリード(スペイン)の決選投票でリオデジャネイロに軍配が上がった。

ほかの都市、シカゴ(アメリカ)を含む4都市を対象にした投票は、過半数を獲得する都市が出るまで最下位の都市を振り落とす方式ですすめられた。
新聞記事によれば、1回目でシカゴ。2回目で東京が落選。リオデジャネイロは1回目でマドリードにリードを許したが2回目で逆転した。
投票結果は以下の通りだという。

                ①      ②       ③       
リオデジャネイロ     26      46       66
マドリード          28      29       32
東京             22      20
シカゴ            18

わたしはそもそも東京五輪には反対の立場であった。旗やのぼりをみても身近には感じられなかったし応援しようという気持ちもわかなかった。
わたしがよく行く、東京都身体障害者福祉会館は都営住宅の真下にあるが、建物はかなり老朽化していて、耐震対策も十分ではないと思う。ほかにも高齢者や障がい者を含む福祉問題があるし、新東京銀行などの問題もある。110億円とも150億円とも、招致活動に費やしたと聞くが、それらははっきり言って税金である。招致に失敗したことをひいても、誰が責任を取ってくれるのだろう。150億円もあれば、障がい者施設とってもいまよりもっといいものができる。つまりオリンピック以外に使えたのだ。

それ以前に、東京都やスポーツ団体などだけが招致に積極的で、市民レベルとしては「それどころじゃないだろう」「五輪に関心がない」というのが正直な気持ちだったのではないか。つまり上からの盛り上がりがいくらあっても下からの動きがないと、どんなに費用を使おうが高邁な理論や理想を並べようが、こころに響いてこない。「環境にやさしい」というけれど、それはスポーツではなくても取り組むことができる。実際鳩山首相が二酸化炭素削減など環境問題を訴えたが、それはすでに国連で発言したこと。空気が読めなかったか、IOCはスポーツの場であることを忘れたのか。

「子どもに感動を」というのなら、五輪以前に普段の生活をとおして感動をともに分かち合うものを見せるべきであって、上から「ほら、これがオリンピックだよ、すごいよ」と言われても「ふ~ん、なんだそれ」で終わってしまうだろう。
わたしは耳が聞こえないけれど、かすかに聞こえていたころに親が買い与えてくれたクラシックレコードを聴いたことがあるから、いまでも音楽への親しみは残っている。そういうものだろう。
スポーツの感動を知ってほしいなら、オリンピック以前に、ふだんから子どもと一緒にスポーツをするとかいった積み重ねの上にあるはず。いきなり上から押しつけても、こころからの感動はわいてこない。語弊を恐れずにいえば落選直後にあるスポーツ選手が「子どもに感動を見せられずかわいそう」と発言したのをきいて、子どもをダシにしているのではないか、とうがってしまったほどだ。

ともあれ招致活動が盛り上がりに欠けたのは事実だし、東京都など一部の人たちが盛り上がっても市民感覚では「しらける」のは当たり前。
リオデジャネイロの市民があれだけ喜んだのは、南米初ということもあるし、自分たちでもできるのだという「やる気」、オバマ大統領が言っていた「Yes,We Can」をそのまま具現化したからだ。

はっきりいえばもう東京に目はないだろう。2020年に立候補してというが2020年というと国内はいまのままでは高齢化がすすんでいる。どれだけ活力が残っているか。
もし次回を言うなら、ほんとうに市民からも「やりたいね」と言う声があがるような態勢作りがないと。何度も言うが、上だけが盛り上がっては「Yes,We Can」はわいてこない。
今回、招致運動にかかわった人たち、とくに東京都など上の人たちには、断固として徹底的に反省を求める。できるならこれだけの巨額の招致費用についても何らかの説明あるいは責任を取ってほしいものだ。

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