何かを伝える存在になりたい2011/08/11 23:41:03

手話つき朗読『鬼平』の表現チェック。細かい直しをしながら、たとえば同心・田中の指示で働いている源助について、原作にある「目明し」を現代風に、スパイだとか探偵だとかいう表現で置き換えられないかと提案してみる。現代語に置き換えると、岡引とか御用聞きなどという。が、それでも手話にするとしっくりこない。研究のためしばらく時間をもつことにする。

わたしたち障がい者は現実の世界の中に生きている。そして差別や困難と直面しながら日々を生きている。
けれどテレビドラマや映画の中ではあまりにも障がい者の存在がない。まるでテレビドラマや映画の世界では障がい者は存在していないかのようにさえ思われてしまう。
欧米では障がい者がアクター、アクトレスとして活躍しているケースがたくさんある。身体が小さい人たちだけの劇団もあるそうだ。『スター・ウォーズ』シリーズ6作すべてに登場したR2-D2。最後はリモコンロボット操作されたものもあったが、R2-D2のボディー内に入って演技をしていたのはケニー・ベイカーというからだの小さな俳優だった。
日本では障がい者をドキュメンタリーやニュースとしての素材で取り上げるけれど、あまりにも演劇や表現の世界で認められる機会が少ない。
お涙ちょうだいが目あてや目標ではなく、生きている人間として、身体や感情を込め豊かに表現して何かを伝える存在になりたい。

先日JR山の手線車両のテレビで、手話男性パフォーマンスグループ「HAND SIGN」というグループのミニ手話講座が放送されていた。
こういう機会もまた、貴重な大切なものである。とてもうれしいことだ。

悲しみを見つめつつ2011/08/12 23:21:37

昨日は大震災から5カ月目。だのにいっこうに揺れが収まらない。きょう未明、午前3時22分ごろに揺れを感じた。

そんなこんなで会社の行き帰りの地下鉄車内は、行きは帰省客で、帰りは人出が少なく(といっても渋谷や新宿は人でいっぱいだが)のんびりした感じだった。

お盆で帰省している方も多いことだろう。
今年は大震災などで人々の絆、つながりを意識させられることが多い。
ネット上では「無駄なことだ」という意見があるようだけれど、お盆、帰省という日本の習慣文化は大事だと思う。
クリスチャンとしては魂が帰ってくるという考えには立たないけれども、どこかで亡くなった人、わたしと血のつながった人がわたしをみている、という思いはある。

悲しみを見つめつつ、希望を抱いて生きていきたい。

安心安全であることが大事2011/08/13 21:25:04

私用で朝から、浜松へ行ってきた。
あまり時間がなかったけれど、市内を歩いてうなぎを食する。いやあおいしいねえ。

新幹線車内からみえる段々畑、サッカーフィールド。またじっくり時間があれば市内を回りたい。

久しぶりの新幹線での移動は自由席。
あらためて思ったのは、なんと乗り心地がよく、安心していられることだろう、と。
先日中国で起きた高速鉄道の追突死亡事故まで、かの国は「世界最速」であることにこだわり続けてきた。
メンツを大事にする国だし、共産党一党独裁であり、くだんの高速鉄道は日本、ドイツなど各国の技術の「いいとこどり」のうえに自分たちの技術を加えたそうだが、あんな事故が起きてはとても、安心して乗れない。
どんなに高速を誇ろうが高性能を自慢しようが、安心安全であることが大事だ。そうでなければお客さんが来ない。今日の新聞夕刊に、中国は安全対策の強化を打ち出し、既存路線も減速運行に踏み切ったと伝えられた。北京―上海線の高速鉄道速度を350㌔から300㌔に引き下げ、広州―武漢間なども同様に速度を引き下げたそうだ。その結果、世界最速はわたしも乗ったことのある、ドイツのICEとフランスのTGV(ともに320㌔)になった。
ようやくかの国も気がついたか。にしても遅すぎる。

昨日は日航ジャンボ機墜落事故から26年目。事故の衝撃は26年がたったいまもわたしの中では消えない。まして犠牲になった方々のご遺族や関係者にとってはなおさらだろう。
今年3月でジャンボ機が国内航空会社では引退、日本の空を飛ばなくなった。いっぽうで日航のシンボルだった「鶴丸マーク」が復活した。ジャンボ機引退のあとに起きた、あの大震災……。

安心して移動できること、安全な運航、運行であること。
今日、静岡まで行けたことに感謝しつつ、これからもすべての国の交通機関には、どんな技術や車両・機体開発よりも、安全安心して乗れること。それが何ものにもまさるということを肝に銘じていただきたい。

むちゃくちゃな暑さだ2011/08/14 23:08:37

いったいなんだろう、この暑さ。昨年と比べてたいしたことがないと思っていたら今日は、33℃という。

手話つき朗読『鬼平』はDVDに録画してチェックをみていただくことになり、週末は今月末の手話サークルでやる予定の「ふしぎな馬」の表現と動きのチェックに絞る。
手話通訳士の先生を自宅にお招きする前に、上野で待ち合わせをしたのだが、いやぁハンパじゃない暑さ。歩きながら何度か目まいをおこしそうになって、ふらふらというほどではなかったけれども、ようやくやっとこさ、駅構内までたどりつくありさま。

チェックは舞台を想定して、動きを3人の登場人物、ナレーターにあわせて、ナレーターは舞台中央に立ち、3人のそれぞれの立ち位置を舞台前面、ナレーターから見て左、右と分かれて立つ。難しいのは、ナレーター、登場人物それぞれが語るのと手話がはじまる瞬間とをきっちり合わせなくてはならない。ひとり芝居だから、語り終える途中で手話が始まる、反対に手話が終わるまで語りを始めてはいけない。
繰り返し練習でからだで覚えるしかない。

明日も厳しい暑さが続くらしい。体調に気をつけて過ごさなくてはね。

尋常ではない暑さの中で2011/08/15 21:16:17

さすがに昨日の疲れが出たのか今日は、終日からだが重かった。
甲子園の中継を見ながら思うことだけれど、ホント彼らはすごい。おそらくフィールド上は40℃を超しているのではないだろうか。わたしもスタンドから観戦した経験から、この時期の甲子園はむちゃくちゃ暑い。暑くなくちゃ夏の高校野球ではない、とさえ思うが、それにしてもあんな状況下でプレーできるというのは、やはり若さと体力、集中力のたまものだろう。一生に一度といっていいあの大舞台に立てる。勝負ももちろんだけれど、それだけにとどまらず、一瞬をその舞台に向けることのできる幸せを思う。

今日は終戦記念日。わたしは終戦とは言わず、敗戦と受け止めているが。
戦争終了から20年目に生まれたわたしにはもちろん戦争体験がない。ないが、親せきに従軍経験者がいたこともあって小さいころに話を聴いたことが何度もある。後悔しているのは、話してもらったその貴重な体験を聞き書きでもいいから残すべきだったと。小さいから無理もないのだけれど、せめて誰かの力を借りてノートに書くとか録音するとかすべきであった。
あの大震災から5カ月になる。
「忘れまい」と言い続けまた記憶にとどめていくべきことだが、悲しいことに人間は忘れやすい生き物でもある。
直接の被災者ではないが、あの尋常ではなかった揺れを今も思い出すとき、東北の人たちがどれほど深い悲しみ絶望を経験したか、想像してみよう。そしていまもなお仮設住宅や原子力発電事故のため避難せざるを得ない人たちのことを。

尋常ではない暑さが続く。
若者のプレーのひとつひとつに歓声をおくるいっぽうで、言葉に表せない苦しい状況の中にある人たちを思う。
あの震災を直接間接問わず経験してきたわたしたちは、可能な限り経験してきたことを後世に伝えていくべき義務がある。忘れないように、ノートでもメモでも録音でも何でもいい、語り継いでいこう。

ヒーローから「多様性 ダイバーシティ」を考える2011/08/16 21:19:34

たまにメロディーラインを思い出すムービーミュージックに、『SUPERMAN』(1978)がある。故クリストファー・リーブさんが演じたスーパーマンは、いまとは違ってフライングシーンはCGではなく、リーブさんがピアノ線にぶらさがって撮影したのだが、彼の人柄もあってか、「鋼鉄の男」というよりも人間くさい、温かいイメージが感じられた。

スパイダーマン、白人以外にチェンジ 「現実を反映」
http://www.asahi.com/international/update/0816/TKY201108160172.html

そんなことを思い出したのは、今日の新聞夕刊に、もうひとつのアメリカンヒーロー、『SPIDERMAN』の正体が黒人とヒスパニック(中南米系)のハーフ、という新しい設定を聞いたことだ。ヒスパニックとはスペイン語圏であるメキシコ、エルサルバドル、グアテマラといった国からの出身者をさす。
現実世界でもオバマ大統領がケニア出身の父と白人の母から生まれたというし、MLBニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーターも同じように白人と黒人の両親から生まれた。いわばアメリカは一歩も二歩も、異なるもの同士が共に住む社会になっているのだ。たしかに不法移民や犯罪という問題もあるが、それらから目をそらしたりあえて無視したりすることなく向き合っているということでもある。
アメリカの現実はどうしても人種対立や差別という問題と向き合わざるを得ない。
2007年7月の人口統計から見ると、全人口3億162万人中、白人系が1億9909万人(66%)、黒人系は4074万人(13.5%)、アジア系1517万人(5.0%)。急増しているのがヒスパニックと呼ばれる中南米系で4550万人(13.1%)だ。将来の人種別人口構成は、2010年の白人系65.1%、白人以外のマイノリティ総計34.9%から、40年後の2050年には白人系50.1%、マイノリティ総計49.9%と拮抗する、といわれているのだ。

ふと、わが日本の誇るヒーローを見ると……これが、実は日本人男性ばかりなんだよねえ。ウルトラマンのハヤタ・シン、ウルトラセブンの諸星弾。仮面ライダーの本郷猛。みんな日本人男性。名前は日本人らしくなくても人種民族という色が出てこない。

先日も手話通訳の先生と話したことだけれど、そしてわたしがずっとこれまで抱いてきた疑問だが、この国はどうしても多様性、ダイバーシティという観点から見ると、世界に遅れていると思う。
大企業は、障がい者雇用だけではなく、女性の役員や役職にさえ消極的なところがまだまだ多い。政府機関でも内閣でも女性が少ない。
能力を認め生かし「多様な働き方を受容する」機会がないところがまだまだ多いのだ。これでは多様性、ダイバーシティからはほど遠い。
そんななかで、たとえば富士通は「社員一人ひとりが、互いを認め、自分ならではの付加価値を発揮し、組織に貢献すること 多様な視点から自由闊達に議論をすることで、新たな知恵や技術を創造し続けること」という2点(同社HPから)を掲げて障がい者雇用などに積極的に取り組んでいる。「配慮はするが遠慮はしない」をコンセプトとして研究職、開発職、営業・SE職をはじめとするさまざまな職種に積極的に雇用している。雇用された側ももちろんそれにこたえるべく、努力を続けているそうだ。

話をはじめに戻そう。
『SUPERMAN』『SPIDERMAN』といったアメリカンコミックスのヒーローは従来は白人系か、白人をイメージしたものばかりだった。デイリー・プラネット新聞社に勤めているクラーク・ケント、またの名スーパーマンだってクリプトン星からやってきたとはいえ、肌はどうみても白い。スパイダーマンもピーター・パーカーが正体だった。バットマンもそう。だけど現実はもう白人だけの社会ではなくなっている。もはや現実をみることなくしてはヒーローは成り立たないのだろうか。

ひるがえって日本。
もちろんわたしたちひとり一人も努力とあきらめないことが大事だ。
けれど、この国の将来を思うと、はたして多様な社会、個性を認め、生き生きと生きていき、豊かな人生をおくる社会になるのかどうか、とても疑問をおぼえる。

MAN OF STEEL2011/08/17 23:53:14

昨日『SUPERMAN』について書いたけれど、このほど、来年夏に日米で公開予定という、新作『スーパーマン』映画のワンシーンが届いた。

スーパーマン公式サイト
http://www.supermanhomepage.com/news.php

ところが、よくみるとコスチュームの青い部分がなんとなく暗い感じの色あいであるほか、うろこのような模様がある。さらには赤いケープのクビ周りにしわがよっている。わたしも何度も原作コミックスを読んだことがあり、フライング中のスーパーマンのケープにしわがあるのを知っている。
世界的に有名なヒーローゆえ、どうしたってファンには思い入れがあるだけ、このコスチュームにも賛否両論があるだろうなあ。

当初は『SUPERMAN MAN OF STEEL』というタイトルだったのが、『MAN OF STEEL』というシンプルかつ明快なものに変わった。製作者としてはこれでヒットすると考えたのだろう。

ともあれ一年後がいまから楽しみである。

少しでも復興のお手伝いになれば2011/08/18 22:24:45

けさは岩手のホルモン、キムチ味を弁当にしてきた。

暑い日が続く。今日も36℃という気温だった。こんな日はアイスドリンクもいいけれど、辛い焼肉を食べるのもいい。
明日も弁当をつくるつもり。何にしようかな。

甲子園の高校野球は準決勝まですすみ、青森代表の光星学院などベスト4が出そろった。古豪作新学院(栃木)対光星学院(青森)、日大三(西東京)対関西(岡山)の対戦と決まった。

勝ち負けは大事だけれど、仲間たちとあの炎天下の中でまだ野球をやれることを大事に、一球一球全力を尽くしてほしい。

今日一日はおかしい2011/08/19 23:18:29

朝家を出て駅に向かったときから、今日一日はおかしいと感じることの連続だった。
地下鉄に乗るまでの道すがらは強い蒸し暑さでまるでサウナのような感じ。会社に着いて勤務の合間に外を見ると厚い雲がたれこめてきた。そうこうしているあいだに突然のどしゃ降りのような雨。雨が上がったと思ったら、ランチを終えて午後2時36分ごろ。がたがたっと大きな揺れ。ふと後ろを振り返るとテレビの画面から「緊急地震速報」が流れてきた。

いやはやとんでもない一日。仕事を終えて外に出ると肌寒さを感じる。午前中の32℃近い気温から、一気に7℃も下がったのだから当然だ。
まったくどうなることやら。

若さあふれる情熱から、意欲をかきたてられた。2011/08/20 19:53:10

第28回手話による全国高校生スピーチコンテストを鑑賞するため、有楽町から帰ってきたばかりだ。
疲れた。暑さに負けそうになってしんどかったけれど若さあふれる情熱と彼らの手話表現から、わたしもまだまだ負けないようにがんばらなくては、と意欲をかきたてられた。

手で語る「絆」 高校生手話コンテスト、山崎さん1位
http://www.asahi.com/national/update/0820/TKY201108200287.html

全国からDVD審査などをへて本選に参加した10人の中から一位に輝いた、山崎芽佑里(めゆり)さんは、対人恐怖症を、手話を学ぶことで乗りこえ、聴こえないろう者同士が語る姿にひかれていったという。
ほかにも生き生きと豊かな表現を見せた人が多く、たぶん彼らは聴こえる聴者だろう。
わたしも朗読舞台でいつも経験することだが、音声日本語と文法構成上異なる日本手話を同時に表すのはたいへんな作業だ。ぶっちゃけ乱暴に説明すると、英語で書かれた台本を日本語で話すのに近いかもしれない。それでも彼らはこなしたのだ。しかも大舞台、大観衆の中で。
わたしにだってできないはずがない。

秋篠宮妃紀子さまの手話はさすがに気品ある表現で、なるほど、とてもなめらかかつはっきりした表現。内容もしっかり読み取れた。

講演では松森果林さんが、高校時代にだんだん聴こえなくなって自殺未遂をはかったこと。父親から励まされて乗り越えられたこと。彼女の聴覚レベルは左右ともに100デシベル。17歳までは聴こえていたのだ。ほとんどわたしと同じ聴覚レベル。わたしのほうがやや重いくらいか。聴こえる生活と聴こえない生活の両方を経験していることが強みだ。その強みを生かしていくことが大事だ、とも語っていた。
バリアフリーとユニバーサルデザイン。建物や社会にできた、障がい者を澄みにくくさせてしまうバリアを壊すのがバリアフリー。そうではなく建物や社会をつくるはじめからバリアのない状態をユニバーサルデザインという。
わたしも子どもがいたらうれしいし、子どもと手話で話がしたい。そして障がいがあっても生き生きと生きられるために舞台などを通して何かを伝えていきたい。

疲れたけれどとても楽しい実り豊かな一日だった。