それしかないのだ2017/08/22 22:33:29

中学生のころに経験した、わたしへのいじめやいろんな、思い出したくもない記憶をふりかえってみると、当時の担任教師がわたしと両親にこういっていた言葉を思い出す。「いじめは、いじめる方もいじめられる方も、両方が悪い」
いまとなっては言葉の真意を確かめるすべもないのだけど、わたしはいじめや差別に「けんか両成敗」のような考え方を持ち出すのは正しくないどころか、ことの本質をすり替えてしまう見えなくしてしまう危険性があると考える。したがってわたしはいかなるどんな理由があるにしても、いじめや差別に対して「両方に責任がある」という言動や態度には、断固として拒否するし批判しなくてはならないという姿勢でいる。

と、長々と書いてきたのは、例によってトランプ大統領のことだ。

アメリカ東部バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者とそれに抗議するグループが衝突した事件をめぐり、トランプ大統領が発言した「「双方に責任がある」という内容をきいて、かつての忌まわしい記憶がよみがえるともに、新たな怒りがわきあがってきたのだ。

トランプ大統領のこの発言と対極にあるのが、前任者であるオバマ氏の次の言葉だ。
南アフリカのマンデラ元大統領の言葉を引用して「誰も生まれながらに、肌の色や生い立ち、宗教によって他人を憎まない」「人は憎むことを学ばなければならない。憎しみを学べるのなら、愛を教えられる」とツィッターで語ったことへの「いいね!」という反響が多数寄せられたことでもわかる。ある報道では237万もの反響があったというから、驚くべきことである。
「生まれながらに憎まず」=オバマ氏投稿に史上最多「いいね」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017081600198&g=int

"No one is born hating another person because of the color of his skin or his background or his religion..."
"People must learn to hate, and if they can learn to hate, they can be taught to love..."
"...For love comes more naturally to the human heart than its opposite." - Nelson Mandela

どっちつかずの態度は、ごまかしとしか言いようがないものだが大統領ともなると、アメリカだけではなく世界にも大きな影響をもたらすだけに、トランプへの批判が起きるのは当然だ。

オバマ氏のツィートを読み返してみる。
「must」とあるのは、「しなければならない」、義務だというのではなくて、それしか方法、道がないのだ、という意味だという。

"People must learn to hate": 義務の must ではなさそう
http://flipoutcircuits.blogspot.jp/2017/08/people-must-learn-to-hate-must.html

わたしは英語にそれほど詳しいわけではないが、オバマ氏のいわんとすることはそこにあるのではないだろうかと思う。
どっちつかずのごまかしのような言葉より、それしか道がない、という言葉に、より信頼をおく。
はたしてわたしたちは、義務としてではなく、それしかないのだ、という意味で、差別を克服できるだろうか。