あなたたちは気づかなかったのか?2012/05/07 23:16:58

大阪維新の会:家庭教育支援条例案を白紙撤回 抗議受け
http://mainichi.jp/select/news/20120508k0000m010085000c.html
大阪維新の会:家庭教育支援条例案に批判続々
http://mainichi.jp/select/news/20120507k0000e010106000c.html
維新の会、条例案提出を撤回 「偏見助長」など批判受け
http://www.asahi.com/national/update/0507/OSK201205070092.html

結婚したこともなければもちろん、子どもを育てたこともないわたしだ。
だが重度聴覚障がいというからだをもって生まれたこと。わたし以外はみな聴こえるという家庭環境の中でたったひとり聴こえない。親がわたしをどうやって育てようとしたか、苦しみ悩んだことは想像するに余りある。
ろう学校に通わせず、普通学校に通わせたのは「障がい者としてのひけめを負わせたくなかったからだ」ときいたことがある。だが、聴者に合わせて自分を押し殺してしまう性格や行動を身につけ、対人関係などスムーズにいかない生きづらさを抱えたまま、いまに至ってしまった。けれどそれを責めるつもりはないし、親にしてみればそうせざるを得ない思いだったのだろう。自分もいずれ親になってみればわかることだろうが。

と、書いてみて。
「維新の会」なる政治団体が大阪市議会に出した条例案が批判を受けて、撤回と謝罪をしたという。批判も謝罪も当然のことである。はっきり言って、底が浅いというか、軽いというか、一面だけでしかものを見ていないというか。

批判を受けた「家庭教育支援条例案」。百歩譲って仮に「親になるための学び」が必要との主張が正しいとしても、それは障がい者への虐待の予防・防止として、「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因」というのはあまりにも一面的でしかない。
わたしの親がそうだったように、障がい者を生んだのは愛着形成の不足といわれたらたまったものではない。どこの世界に、子を愛さない親がいるだろう。子どもへの虐待が報道されているが、生育歴として親の被虐待歴もあるかもしれないが、それもいろんな角度から見るべきこと。親だけではなく社会のかかわりなど、さまざまな要因がからんでいる。

記事にもあるように、専門家や保護者団体から「科学的に誤り」「偏見を助長する」と批判が相次ぐのは当然のことだ。

わたしの周りにも何人か、障がい児を育てている人がいる。
将来子どもができたとき、親が聴こえないということで難しい問題があるかもしれない。だからといって子どもを育てられないなどと否定されるのもまたおかしな話。

結局、障がい者差別を助長すると受け取られても当然。
白紙撤回する前に、気づかなかったのか?

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