読んでみたいマンガ2012/05/11 22:08:07

会社の行き帰りや礼拝の時にいつも読む、文語体聖書。
わたしと文語体の出会いは聖書の前、小学校時代にさかのぼる。

卒業までの3年間をわたしは東京都足立区で過ごした。
ある日のこと、駅前の小さな書店に置いてあったマンガを手にとって無性にむさぼり読んだ。当時流行していた『サーキットの狼』ではない。『のらくろ』である。

「失業すれば元ののらいぬ」 除隊後の「のらくろ」復刻
http://book.asahi.com/booknews/update/2012051100001.html

ご存じない方のために紹介すると、『のらくろ』は第2次世界大戦、太平洋戦争前の1931年から41年に描かれた、田河水泡さん(本名・高見澤仲太郎)のマンガでわたしが子どものころにテレビアニメーションになったこともある。たしか大山のぶ代さんが声を担当していたと記憶している。

天涯孤独、両親も家族もない真っ黒な犬、のらくろが陸軍猛犬連隊に入隊、二等兵から大尉まで昇進して除隊、そのあとに炭鉱でかつての元上司、ブル連隊長とともに働く。そのあとは喫茶店のマスターにもなったという物語もある。田河さんはマンガでデビューする前に新作落語作家だったことから、落語のオチあり、活劇あり、戦前戦後にかけて少年たちの笑いと涙をさそった作品だ。田河さんはキリスト者で、『サザエさん』の作者、長谷川町子さんを指導したことでも知られる。長谷川さんもキリスト者だった。

『のらくろ』は、わたしは猛犬連隊を除隊して炭鉱で働くところまでしか実は読んでいない。記事にあるように1960年代に描かれた作品があるとは、記事を読むまで知らなかった。
けれど文語体のせりふもすっとはいってきて理解できたし、声に出してもとても読みやすい。
『のらくろ』全集は現在絶版で入手不可能だという。
手に入るならまた読んでみたいマンガだ。もちろん『のらくろ放浪記』『のらくろ捕物帳』『のらくろ喫茶店』(各3570円)も。

江東区森下文化センター のらくろ館
http://www5a.biglobe.ne.jp/~norakuro/sub1/norakurotoha.htm

たしかに描かれた時代背景を考慮すべきではあるがそれとともに子どもたちが熱中して読んだ世界を知りたいと思う。