自分たちの世界を壊されたくないと2011/02/11 23:13:28

ここ2週間大きな話題になっている、相撲の八百長問題。

30年ほど前から週刊誌が取り上げたりワイドショーの題材になったりしてきた。その結果はいつもあいまいなもので終わっていた。日本相撲協会が週刊誌を発行した出版社を訴えて多額の金額を得たこともあった。八百長はたしかに法的な罰則はないかもしれないが、スポーツであるとするなら、わずかでも疑われる余地をなくしたほうがすっきり社会から認められる。だから今回の問題は重要である。

相撲は不思議な世界だ。
神事であり、しょっきりや相撲甚句などの芸能でもあり、スポーツという側面もある。そしてムリへんにげんこつと書いて親方、と言われるように厳しい上下関係があり、番付で待遇が異なる。下の番付になるにしたがって虫けら同然、という縦社会だ。たとえばメジャーリーグとマイナーリーグのそれは、大相撲のそれと似ている部分もあるかもしれない。メジャーリーガーがビジネスクラスに乗り、遠征先でも高級ホテルに泊まり、球場から空港へのアクセスも専用バスが球場から空港にそのまま運び、空港にはVIP専用の出入り口を通して搭乗手続きさえ簡略してくれるのに対して、マイナーリーグは半日のバス移動はざら。食事はせいぜいがハンバーガー。宿泊はモーテルだ。そういった世界を抜け出したいなら、上に一日も早く上がることだ。そう教えられていく。そういうヒエラルキー、ピラミッド社会が選手の意欲向上につながることを否定はしないが、相撲のように現役を終えた後までもつきまとってくるとしたら、いささか違和感を覚える。ちなみにメジャーリーグの監督になるには、メジャーリーグのどんな名選手であってもマイナーリーグから始めるのがあたりまえだ。マイナーリーグで現役を終えた人が多い。そこには現役時代の肩書などいっさい通用しないという理由がある。

だが、決定的な違いがある。競技団体のトップが競技経験者であるかないか、だ。
日本のプロ野球でも、アメリカのMLBやNFLでも、競技団体のトップが競技経験者であっても、その競技団体の選手経験者だとか選手会経験者ということはない。
たとえばNFLの現コミッショナーであるロジャー・グッデルはペンシルベニア州のワシントン・アンド・ジェファーソン・カレッジ出身だ。高校までフットボールをプレーしていたが、NFLには選手としてではなく、広報PRのインターンとして入ったのだ。それも初めからNFLに採用されたわけではなく、手紙を出しても断られ続けてようやく入ることができた。そういうキャリアだから、NFL内部だけではなく、外の世界も知っているし、外からNFLがどう見られ映っているかも肌身で感じているはずだ。
それに対して日本相撲協会は理事長が横綱か大関経験者がほとんど。現役時代の番付が引退後の役員になっても顔を利かせ、おかしなことがあっても口に出せない雰囲気なのだろう。だから外部からの人を受け入れるのもしかたなく、しぶしぶ。自分たちの世界を壊されたくないと保身に走ってしまうのではないか。

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