時代背景や暮らし、文化を知る2014/12/10 22:27:21

手話落語「時そば」に挑戦している。

いろいろ研究したりものの本を読んだりして、この落語がどういう作品なのか歴史や、当時の食生活や数字の数え方まで学んでいる。

調べてみると、この落語のもともとの話は1726(享保11)年の上方、京都の『軽口初笑』のなかにおさめられている「他人は喰寄り」という話だそうだ。その後大阪で「時うどん」という噺になって、江戸にきたときには「時そば」に変わったらしい。そういえば関西はうどん文化だ。なるほど。
そばの値段も、「時そば」噺のなかでは16文と決まっているとなっているが、そもそも、二八そばのそば粉とうどん粉の配合比率からきているのか、はっきりしない部分もあるらしい。
ただ、夜鷹そばといって、いまでいうなら屋台ラーメンのようなものか、夜の町中を往来してそばを売っていた人たちがいたことは事実だろう。

もうひとつ興味深いのは、数字の数え方だ。
江戸時代、識字率は考えられるほど低くはなかったらしい。
現代日本語では「10」を「じゅう」と読むが、当時は「とお」と読んでいた。
そこで10以後の数え方を調べると「とおあまりひとつ、とおあまりふたつ」と読んでいた、という説を聞いた。
春風亭柳橋という落語家は「ひい、ふう、みい、よう」と数えていたが同じく落語家の桂三木助は「一つ、二つ、三つ、四つ」と数えていた。時刻を「よっつ」「ここのつ」と数える場面から、時刻については後者をとるとして、お金を数えるときは「ひい、ふう、みい、よう、なな、やっつ、ここのつ、とお」以後、「とおあまりひとつ、とおあまりふたつ」と数えるのはどうだろう。

手話表現を覚えるというだけではなく、時代背景やその時代の暮らし、文化、人々の息遣いなどを知るという意味でも、学ぶものの多い表現芸術である。
落伍はとてもおもしろいものだ。