夕暮れに2009/11/09 23:42:43

新聞を読むと、疲れるようでいて実は有意義なものと出合うことがある。毎日のニュースが殺人だの強盗だのと、殺ばつとしたものばかりの昨今だけに、ホッとする記事と出合うと、まるで奥深い知恵の森の中を歩いているような気持ちになるのだ。

今日の夕刊。
「人生の目的意識と死亡率」という医学記事に目を奪われた。

これによると、「心身医学」という雑誌だろうか、この6月号に「人生に対する目的意識の高い高齢者の方が長生きするのだという研究報告があった。
アメリカの地域在住高齢者1238人(平均年齢78歳)を最長5年間追跡したのだそうだ。
①わたしは人生に方向性と目的の感覚を持っている②わたしは将来の計画を立て、それを実現させるために働くことを楽しむ③人生を目的なしにさまよう人もいるが、わたしはそうした人々の一人ではない④わたしは人生でなすべきことをすべて行ったように感じることがある

この5つの問いに5段階の選択肢から1つ選び、合計点を質問数(10)で割って一人ずつ平均点を出す。対象者全体の平均点が3・7点だった。
人生の目的意識に関する5点満点の点数が下位10%(3・1点)の人と比べて上位10%(4・2点)の人は死亡率が43%も低かった、という。

どんな逆境下でも人生を意味のあるものとすることができる。人生に対する目的意識を持つことが心理的健康を維持するうえで重要だ、と結論付けている。

さて、実は今日はわたしの誕生日だった。もううれしくもないけれどねえ。

この記事から、感じることが多い。
孤独であったりコミュニケーションがなかったりする人は、なかなか自分の人生への目的意識どころか、楽しむことさえ避けてしまうのかもしれない。
人生途上で聞こえなくなった高齢難聴者にとって、孤独ほど苦痛なものはない。
だれもがいずれいつかは年老いていく。からだの機能が衰えていっても、手話もそうだが、なお希望を持って生きていらっしゃる方から多くを学ばされる。わたしが通っている手話サークルにもそういう方が多い。
高齢化がますます進むからこそ、ご高齢の方々の思いに耳を傾けていきたい、そう思ったわたしの誕生日である。