車窓からみる光景2007/09/13 09:52:54

飛行機を除けば、いよいよ初めての長距離移動になる。ユーロレイルを利用しての移動は、待ち時間も含めば半日がかりだ。13日朝5時30分にホテルで起床、前日に買ったサンドイッチをそこそこに腹におさめて6時にドレスデン駅に着く。
朝4時ごろからすでに列車は運行をはじめているらしい。6時ともなると旅行客が大勢いる。7時すぎには通勤通学客らしい人を多く見かけた。列車から降りて競うように出口へ走っていく光景は、洋の東西を問わず同じだと知って、苦笑したりほほえんだり。

半日がかりとはいえ、ドレスデンからフランクフルトまでの6時間はカレー味のウインナーとパンを食べて、のんびりゆったり、景色の変化を見ながら休息にあてた。フランクフルトで日本語の新聞を購入、腹ごしらえにフランクフルト滞在中にも食べたすし弁当を購入。朝早くからだもの、おなかがすくのは当然。
2時間の待ち時間といっても、実際ゆっくりできたのはスターバックスでコーヒーを飲んでいるくらいの1時間ほどだ。聞こえないしアナウンスもわからないから早め早めにホームに入って待つしかない。
フランクフルトからアムステルダムへの時間がまた長い。午後2時すぎに出発して到着が夜の8時。乗客は初めはビジネスマンが多く見られたが、次第に一般の旅行客も。
窓から、気球や風力発電の風車をみて、欧州のエネルギー環境問題への関心やモンゴルフィエ兄弟以来の気球スポーツの歴史を実感する。

疲れがたまっていたのでほどほどに、就寝。

想像する力 空想ではなくありのままを見つめる目2007/09/13 21:53:50

今回の旅行の目的は観光ではなく、朗読で読むことになっている「アンネの日記」とからめての取材旅行であった。
だからアムステルダムに来たということは、当然アンネの隠れ家を訪れないわけにはいかない。
朝起きて朝食、ハムとパン、コーンフロストを食べてから、徒歩で「隠れ家」であり改築された「アンネ・フランクの家」を訪れる。午前10時にはすでに多くの訪問客が列を作っていた。

アンネの隠れ家と日記については、アンネ本人の日記や多くの著作を通して既に知られているところであるが、アウシュビッツを訪れる前の、いまから15年ほど前に読んだ新聞記事を思い出す。そこには「アンネの家」を訪れた日本の若者が「ナチスが日記を片づけなかったら残ることはなかったよな」と口走ったという話から始まっている。

アンネも含めた隠れ家の人たちは、逃げたくても逃げられなかったのだ。隠れ家の外に出るということは、見つかって強制収容所へ送られるということを意味している。ユダヤ人としてさまざまな制約を課せられているなかで、逃げ出すということはあの時代、ほとんど不可能なことだったのだ。わたしはこの記事を読んで、なんと想像力の欠いたことを口にしたのだろうと、この日本の若者を苦々しく思ったものだが、いま実際に訪れてもその気持ちに変わりはない。
想像力とは、ありもしない空想を並べ立てることではない。あのいまわしい時代に何があり何が起きたのかを想像してみるということ。
まさに想像力が問われる、今回の取材であった。