やりとり部分を入れ替えて読んでみる2016/11/19 22:36:08

朗読のレッスン、2016年最後のテキストは、清水義範氏の『苦労判官大変記』。

この人らしい皮肉のきいた文章、と評価されているように、読んでいてニヤリとさせされる部分が多い。
昔わたしが小学校のころによく見た、源頼朝の画像。冠をかぶりひげをたくわえた精悍な男の画像。近年の研究では、どうも源頼朝本人ではないのではないか、という学説があるらしい。

頼朝、尊氏、信玄 肖像画が別人だった理由を教科書会社解説
http://www.news-postseven.com/archives/20141123_285285.html

『苦労判官大変記』は、頼朝の弟、義経は本物ではなく、武蔵坊弁慶が京都にいた、名も知られぬあるチンピラをつかまえて偽物、偽義経に仕立てた。仕立てた武蔵坊弁慶が、実は義経本人だった、という小説。
実際、弁慶についていろいろ言われている話は『義経記』を中心とした後世の物語を基にしたもので、史実の弁慶についてははっきりしない部分があるようで、実在を疑う意見もあるとも。

そんなこんなは横において。
義経(偽義経)と弁慶(実は義経)のやりとり部分を、2人で交互に入れ替えて読んでみるとまたおもしろい。
掛け合いの妙であったり、感情の出し入れ、間合いであったり強弱であったり。
こういう読み方もおもしろいものだとあらためて感じたのだった。