メンタルリハーサル2010/09/28 21:39:32

今日の新聞夕刊、長野五輪金メダリストの清水宏保さんの『ロケット トーク』というコラムに、興味深い記事があった。
最高の競技成果(ピークパフォーマンス)について書いておられる。

わたしのような凡人と違って、スポーツの世界で名をなした人のそれは、とても参考にならない部分と参考になる部分の両方がある。
たとえばシアトル・マリナーズのイチローは、打席に入る前の屈伸をいつも同じパターンで行っている。それはたぶん彼がからだを動かすときにどこに気をつけているか、どこをどう伸ばすか力を入れるべきか、けがをしないためにどうすべきか、経験でわかっていることなのだろう。その上で同じ動きをすることで自分のからだの状態をつかんでいるのだろう。

清水さんはこの記事の中で「あふれでる感情を削る」という言い方をしている。あえてやる気のない方向にもっていく。ストレッチも減らし、ウォームアップで走るのも少なくする。いきなりトップを狙うのではなく、一歩下がってひいてみる。そうすることで「客観的に自分を見られる」ようになるのだ、と。

朗読のレッスンの前に発声練習をする。
「アー」とおなかから声を出す。長続きしなくてもいいができるだけ声を出す。
そのときわたしの脳裏に浮かぶのは、フットボールのキックオフだ。キッカーがボールをキッキングティーにセットする。キッカーを除く10人の選手が横一線に並ぶ。キッカーが手を上げて合図をし、走り出すと同時に10人も前に向かって走る。けられたボールが高く、できるだけ遠くへ飛ぶ。ボールが高く遠くへ飛ぶように、声も遠くまで響くようなイメージをしている。実際にはなかなか遠くまで行かないけれどね。

清水さんは「リラックスと緊張のバランスのとり方」と書いている。同感だ。
緊張ばかりでもだめだしリラックスしすぎてもだめ。
心臓が飛び出そうなときは「ああ、いま緊張しているんだね」と自分の中に語りかけ、リラックスしているときは「よし、次は出番だぞ」と気持ちをゆっくりもっていく。
そのバランスをうまく保てるようになりたい。