あれから17年2006/01/18 21:43:19

 あれからもうそんなに経ったのか、がひとつ。そしてあれから何か変わったのだろうか、というのが次に。

 1988年から89年にかけて埼玉・東京で起きた幼女連続殺害事件の最高裁判決が出た。被告は死刑が宣告されたが、判決後に面会した大学教授に「何かの間違い」「いつか無罪になる」と語ったという。翌日その大学教授との面会では「幻聴に悩まされている」と語った。口では「無罪」といいながらひょっとして死への恐怖におびえているのかもしれない。

 あの事件当時わたしは社会に出るかでないかという時期だった。東京に就職でやってきて直後の大きな事件だったから印象がとりわけ強く、あのころからだんだん「この国は壊滅していくのではないか」ということを感じていた。言い換えれば何かがもろくなっていくのではないか、と。

 昨年栃木・広島・京都で次々と幼い少女がいのちを奪われる事件が続いた。事件直後、自宅を朝早く出たある日、自転車でわが子を守るため防犯パトロールに出ていたお母さんたちをみたけれど、とうとうここまできたか、
平気でいのちを奪う社会はどういうものだろう、と暗たんたるやるせない気持ちと怒りをおぼえた。

 いったい17年で何が変わり、何が変わらなかったのだろう。
 欲望を丸出しに、金さえあれば人の心も買えると豪語する社長がでる世の中。一方で人と会話できず自分の世界のなかだけに埋没するカルチャーがある。ゲームがなければ意味がないと言いたげな子どもたち。

 何かがおかしい。
 とてもひとことでは言い表せない、ゆがんだ社会になっているのではないか。