恐れることなく天を仰ぐことができるかぎりは2017/01/05 22:10:38

今日、病院で検査の結果説明があった。

転移はなし、血液検査も異常なし。けれどもステージ2であること、再発率は10%という説明の上、これからも経過観察のため通院が必要ということだった。医師の説明ではがんはきれいに取れたし、手術としてはそう難しいものではなかったという。
だが、リンパ腺だけでなく、がんがほかのところに飛んでいる可能性がまったくなくなったわけではない。再発率が10パーセントという数字もステージ2という問題もしっかり認識しておかなくてはならない。

大事なことは病気を恐れることではなく、がんという貴重な経験をしたことを通して、どう生きていくかということだ。いずれは誰も死ぬのだが、せっかくいただいたがんという病気という経験から学び生かしていくことがわたしのこれからの課題ではないだろうかと思う。

大学時代に読んだ本のひとつに乳がんで亡くなったフリージャーナリストの千葉敦子さんの『よく生きることはよく死ぬことだ』というのがある。がんとわかってからこの言葉が離れない。
わたしがキリスト教会に行くきっかけとなった『塩狩峠』の作者、三浦綾子さんも「人間で最大の最後の仕事はいかによく死ぬか」だと言葉を残している。
朗読舞台で読んだ『アンネの日記』、1944年2月23日の日記にアンネはこう書いている。これもいまあらためて読み返すとこころに響いてくる。
「街並みだの、家々の屋根を見るのではなく、その向こうの天をながめるのです。恐れることなく天を仰ぐことができるかぎりは、自分の心が清らかであり、いつかはまた幸福を見いだせるということが信じられるでしょう」
街並みや家々の屋根を再発率10%、ステージ2、という言葉や数字に置き換えてみよう。たしかにこれらは恐るべきものだ。だが、不安を抱きつつ、一喜一憂することなくされることなく、恐れることなく天を仰ぐことを通して、いかに生きていくか死んでいくかをこれからの課題にしたい。

妻と、とりあえずのお祝いとしておそばカルボナーラを食べた。