試練であり機会であり、貴重なものをもらえたということ2016/12/11 19:23:30

半世紀も生きてきたのだから、いろんなことがあった。
それでもなお、「え?」と思うことが起こる。

経過は長くなるのではしょるけれども、S状結腸がんという診断を得て、近々手術と入院を受けることになった。

大学時代の卒論がターミナルケアで、社会人になってしばらく、このテーマに関心をもち続けて関連書物を読んだり、聞こえないなりに講演会だとか先生のお話を聞いたりとかしてきた。
そしてン何十年かたって、今度はわたしががん患者になった。

何度も検査を重ねて医師から「がん」と診断を受けて妻と一緒にあらためて確認のため別の医師からもいわれて、納得している。
はじめて「がん」と聞いたときは正直、雲の上を飛んでいるかのようなふわふわした、それでいてどこか混乱した心境だった。もともとわたしはがんの告知に積極的な立場だったけど、実際に言われてみるとやはりショックは隠せなかった。いまは冷静に積極的に自分を見つめられる。
今日のはーとふるはんどのけいこ前にも、メンバーに報告して、入院手術、必ず戻ってくるから、とも伝えた。

クリスチャンとして。ろう者として。社会人として。夫として。

がん患者でありろう者であるということを前向きに受け止め、学生時代から考えたり学んだりしたことを、自分の身をもって構築し直したり深めたりする。
そういう試練であり機会であり、人生を大きく成長させてもらえる貴重なものをもらえたということに感謝しつつ。

がんに負けずに、生きていきたい。

気持ちはまだまだ不安があるけど2016/12/12 22:44:43

連絡をしてもいい人や仲間にだけ、今回のわたしの病気や入院手術をお伝えして、とりあえず入院前の数日は仕事に集中。

終わってから妻と、東京ドームへ行く。社会人アメリカンフットボールの決勝、第30回ジャパンエックスボウルを観戦してきた。

今回は富士通フロンティアーズ対オービック・シーガルズ。試合は16-3で富士通の勝利。富士通は2017年1月3日開催の日本選手権ライスボウルで学生代表と対戦する。その学生代表は、今週日曜日18日の第71回毎日甲子園ボウルで決まる。

入院手術と正直、不安がある。
けれど勇気を出していかないと乗り越えられない。神は乗り越えられない試練はお与えにはなさらないと確信している。
フットボール観戦で一歩また勇気を持てたような気もする。

凡てのこと相働きて益となるを我らは知る2016/12/13 22:32:47

神を愛する者、すなはち御旨によりて召されたる者の為には、凡てのこと相働きて益となるを我らは知る  

新約聖書、ローマの信徒への手紙 8章28節。もちろん文語体である。

仕事を終えて明日から入院、そして今週中に手術を受けることになる。

できるなら避けたいものだと思うけど、避けられないのなら引き受けるしかない。
すべてのことが益、プラスになると確信しているから。

入院1日目2016/12/14 21:45:31

朝9時に家を出て病院に。

手術の説明などをDVD等を通して理解できた。
今週はきつい日が続くと思うけど、しっかりがんばろう。

病室にOAKLAND RAIDERSのジャージを持ち込んできた。
今年はとてもいいseasonを送っている。
チームに負けずに、ぼくもいい結果が出せるように。

お見舞いに来てくださった2016/12/15 20:24:03

夕方に職場の上司が、日中に同じ年に結婚式を挙げたわたしたちの共通の友人が、それぞれお見舞いに来てくださった。

職場の上司は国内フットボールマガジンを、友人はわたしの好きなコミック雑誌を持ってきてくださった。

今日からおなかをきれいにする下剤を飲んでゆううつなところだっただけに、とてもうれしい。

手術当日2016/12/16 23:12:05

朝8時30分に、手術着に着替えてくださいと言われた(これについてはあとでたぶん書くと思う)。
徒歩とエレベーターで4階HCUにある手術室へ向かい、背中を丸めて麻酔を打たれて仰向けになって、麻酔医から「へやが狭いので手足を軽く縛りますよ」と筆談で言われたところまでは記憶がある。そこからさきの記憶はまったくない。

朝9時から始まり16時30分で終了。医師の説明では短い方だというが妻にとっては長い時間だっただろう。

HCUから戻ってきた2016/12/17 20:06:00

HCUから、一般病棟一般病棟に移る。ナースステーションに近いところだ。
2日間は絶食ときいている。傷の痛みと点滴の痛みでなかなか眠れず。

あの時代といまと2016/12/18 21:00:22

点滴が2本から1本に減った。
「真田丸」最終回を見る。
徳川家康の試飲は死因はがんではなかったかという報告があるそうだ。家康自身はかなり健康オタクだったそうで、薬や食べ物についても気をつけていたそうだが、あの時代、がんはとても苛酷な治療だったのではあるまいか。

失敗、成功と研究を重ねて400年後のいま、こうして生きていられる。まだまだがんを克服できたわけではないが、しかし少なくともがんと向き合うことができる。

またみんなと手話を学びたい。2016/12/19 21:56:42

お見舞いに来てくださった友人とデイルームでお話をしたり手話を一緒に学んだり。

あっというまの時間だったけど楽しいひととき。
戻ったらまたみんなと手話を学びたい。

暴力に訴えてもなんにもならないのに2016/12/20 21:45:42

病室のテレビでも見ていたけど、今日(現地時間19日)ドイツ・ベルリンで起きた、バスがクリスマス市に突入して12人が亡くなった事件。同じ日にはトルコ・アンカラ市内で開かれた写真展の開幕式に来た来たトルコ駐在のロシア大使がトルコ警察の機動隊員に背後から射殺され、この機動隊員も銃撃戦の末、射殺された。

どんな正しい理由があっても、暴力やテロで問題は解決しないはずなのに。なんにもならないのに。

案の定、このトルコ駐在ロシア大使が射殺された場面がネット上に広がっている。

人のいのちを、いともたやすく奪うテロ。
一方で最新技術によってわたしはがんの摘出を受けることができた。

亡くなられたベルリンの人たちとその家族、トルコ駐在のロシア大使とその家族のために、こころから祈りたい。