陰謀論には与したくない2016/04/28 23:16:09

5年前の東日本大震災、いやその前からもずっと911アメリカ同時多発テロや、もっとさかのぼればアポロ11号、今回の熊本地震にいたるまで、ネット上では陰謀論だとか、人工地震だとかアメリカ政府の自作自演だとかいった話が飛び交っている。わたしはプロテスタント・クリスチャンだが、同じクリスチャンのあいだでさえも、そういうことを口にする人もいる。自然災害や大きな事故が起こると「サタンのしわざだ」と大騒ぎする。

まあいろんな意見があっていいし、多様な意見が言えるということは大事なことだと思う。
思うが、しかしわたしはそういう陰謀論だとか、なにかある国やある指導者だとかある特別な集団が起こしたとかいうのは、なんだか小説か映画かなにかの読みすぎ観すぎじゃないのかと思いたくもなる。

911にしても東日本大震災や熊本地震は、たしかに想定外の部分がありいまもなお余震が続いていて、熊本地震は震度1以上が1000回を超えた。震度7が2回もあった。そういう話だけをつまんでみれば、驚くに値する。
けれどもよく考えてみよう。地球の歴史は人類が地上に現れるよりも長い時間なのだ。逆に言えば、人類の歴史など、この星がつくられてからの気の遠くなるようなはるかな時間に比べれば、わずかな時間でしかない。地震の発生メカニズムは「ナマズが起こす」と信じられてきた昔に比べればはるかに知識もデータも増えているけれど、それでも今回のように経験則や過去のデータでは説明できないことも多い。つまりまだまだわたしたちは自然について知らない者なのだ。
それを考えれば、自然に対してもっと畏敬というかおそれを抱くべきものだと思うのが普通だろう。それをなにか陰謀だというのは、現実に被災された方々の立場に立ってみたらとても言えるものではない。

一部のキリスト教会がよくいうサタンの仕業だ、というような陰謀論も、熱心な信仰のあらわれのように見えて実際は人間の側のかかわりというか人間中心の考えかたに陥っていないだろうか。神はサタンの介入だとかそんなやわなことをお許しになさらないだろう。サタンさえも従うと聖書にあるのに。熱心な信仰と陰謀論は似て非なるもののはずだが。

何度もここに書いたことがあるけど、ノストラダムスの大予言を信じていた、バカバカしくも苦い経験をしたものとして、わたしは陰謀論にはかかわりたくないし、これからもそんなことをネットでも現実世界でも口にしないと思う。ネットという閉鎖された空間だからいろんな意見が飛び交うぶんにはいいが、ネットだけではなく実際の現実をもみながら、陰謀論ではなく、悲しみ苦しみの中にいる人たちのことを考えるようでありたい。