思い出のスクリーン2015/10/29 23:34:58

先日神保町の古本店をブラブラ歩いていて、映画パンフレットをおいてあるお店にふらりはいったときのこと。
薄汚れた、しかしどこかで見覚えがある作品のパンフレットが目に飛び込んできた。

『愛は静けさの中に』(原題 Chidren of a Lesser god)。奥付には昭和62年3月とある。1987年。バブル景気真っただなかのころ、わたしはまだ大学生だった。もちろん聴こえなかったけれどいまほどは重い聴こえではなかったと思う。

かすかに聞こえてくる、冒頭部に流れる静かな音楽と、カナダ・ニューブランズウィックにあるセント・ジョン近くの風景。フェリーポートの甲板に降り立つジェームズ・リーズ(ウィリアム・ハート)の場面にひきこまれた。
原作演劇台本はメーン州を舞台にしているが、そんなことさえ気にならない、自然に囲まれたろう学校。そこで、ジェームズとセント・ジョンのろう学校で掃除係として働いているサラ(マーリー・マトリン)を中心に、ろう者と聴者、男と女の愛を、美しい映像で描いている。本質は障がいではなく、<人間と人間のコミュニケーションの難しさ>だ。

こういう、お涙ちょうだいものではなく、障がいと障がい者をきちんと描いた作品はなかなか日本ではみられない。いい作品はあるのだけれど商業映画になりにくい。
わたしは正直に言って、2020年パラリンピックにはまだ納得していない。
障がい者のスポーツはすばらしいと思う。わたしも卓球をやっているからなおさら感じるが、頑張れとかすごいといった賞賛で終わってしまうのではなく、障がいがあっても、いや障がいがあるからこそ、人生にもチャレンジしたい、そのことが大事なのではないだろうか。人生にチャレンジしたいという思いは、障がいがあろうがなかろうが、変わりはない。
障がいがあるからというだけで「がんばっている」とみられるのは、なにかおかしいと思うのはわたしだけだろうか。

またこの映画のDVDを見たくなってきた。

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