プロの世界で生きる厳しさと人間らしさと2013/11/07 22:31:06

小さいころにいじめを受けた経験があるわたしにとって、大人の、それも厳しい競争社会であるプロスポーツでいじめがあるというのはなるほどという半面、愚かだなという思いもある。

ポジションによって違いはあるけれど、平均実働年数が3年たらずというプロフットボールの世界でもつい最近、いじめがあった。

日本でもファンが多いチームのひとつ、マイアミ・ドルフィンズでのできごとだ。
ジョー・フィルビンHCがチーム内でオフェンスタックル(OT)ジョナサン・マーティンに対する嫌がらせがあったとの訴えを受け、調査に乗り出した。その結果、オフェンスガード(OG)リッチー・インコグニートがマーティンに送りつけたボイスメールで人種差別の言葉を使用した中傷をしていたことが発覚したという。事態を重く見たドルフィンズはインコグニートに対して無期限の出場停止処分を下したのである。ちなみに被害者は黒人、加害者は白人である。加害者はチームから解雇されるだろうし、被害者もチームに居づらいだろう。

数年前ワシントンDCを訪れて、現地在住の方にお話をうかがったとき、少なくともメジャーリーグでは人種差別は少なくなった、ときいた。だがNFLではまだ問題が残っていたのだろう。今回大きな問題になり、現役選手や元選手から告発の声が上がっている。

きれいごとで済ませるつもりはない。わたしもはっきり自分の経験から、いじめは断固反対だし、いじめる人間は自分の人間性も貶めていると思う。そしてそんなやつとはかかわりたくない。

だが、こうも思いたい。
たった3年しかいられないかもしれない厳しい競争社会にあって、気高い人間性を保つのは難しいのだろうか、と。

サッカーの話だ。
日本代表、長谷部誠選手と清武弘嗣選手が属するブンデスリーガ、ニュルンベルクでは、ミハイル・ヴィジンガー監督が解雇され、代わりにロジャー・プリンツェン氏が暫定的に指揮を執るという。
そのヴィジンガー氏は、解雇された直後に長谷部選手はじめチームメートのもとに来て「かかわれたことをうれしく思う」とあいさつをして去って行った。
長谷部選手は「厳しいプロの世界の中で、人間性を見失いかねないけれど、プロでありながら人間性を保つとはどういうことか」と自らに問いをかけたそうだ。

幸い、今回の旅行でもわたしも妻も人種差別的な扱いを受けることはなかった。
だが現実にNFLで起きたことがわたしたちの身に起きないとは限らない。
そのとき、断固として差別してきた側に抵抗できるか。

生きていく厳しさの一方で、人間として大切なものを見失わない、そういう生をつくっていきたい。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
今年のスーパーボウル優勝チームは?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://todaywesonghands.asablo.jp/blog/2013/11/07/7047246/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。