いのちあるということがとてもいとおしく感じられてならない2012/09/25 21:18:23

わたしがいつも利用しているのは京浜急行線だが、昨日遅くに土砂崩れに列車が突っ込む事故があり、10人ほどの方がけがを負ったという。
事故の影響は一夜明けたけさも続き、仕事に行くあいだ、地下鉄都営浅草線は混んでいた。
もし事故の車両に乗り合わせていたら、聴こえないわたしはどんなにこわかっただろう、と思う。

さて先日の新聞記事に、興味深い記事があった。
ジャンク、というとがらくた、といった意味だが、DNAでできた人のゲノム(遺伝子情報)のうち、遺伝子として働くのは数%で、残りはジャンク、がらくたと思われていた。
ところが今月になって、人のゲノムの8割はなんらかの役目を果たしているという研究発表があったという。日本も加わった国際共同研究で、ネイチャーという世界的に有名なイギリスの科学誌に6本の論文が載ったのだそうだ。

専門家にきくと、がらくたと思われていた人のゲノムの役割は、遺伝子の制御にあるのだという。
たしかに、それぞれの遺伝子が適切な細胞で、適切なタイミングで働く仕組みは、人間の知恵や知識をはるかに超えて謎だ。

がらくたと思われていた人のゲノムにこそ、遺伝子に仕事をさせる指令系統が隠されていたのだとすれば、これはもう驚きとしか言いようがない。

わたしたち障がい者は障がいがあるというだけで、差別されたり生きる意味や価値がないかのようにみられる。だが聴こえない人も聴こえる人も、遺伝子があり、がらくたのなかに隠されたなにかがあるのだとしたら、障がいを理由にした差別なんて意味がない。障がいがあろうがなかろうが、わたしたちは等しく同じ生命をもつ存在なのだ。

昔読んだ科学本『COSMOS』で、故カール・セーガン博士は、わたしたちは宇宙のちりからできた、偶然によって生まれた存在なのだ、と書いている。

わたしたちもまた、その宇宙のちりからできたのだとしたら、いまこうして生きていること生かされていることが、とてもいとおしく感じられてならない。
そして明日からの新しい日を、堂々と誇りを持って生きたいと思う。