気負わず自然な自分を出すこと2012/08/17 22:08:56

朗読というジャンルで「語る」取り組みをしていると、同じ「語る」という芸の達人の言葉が胸にずんずん響いてくる。
この15日の毎日新聞夕刊「新幸福論」は、漫才師の西川のりおさんのインタビュー記事だった。

テレビ番組で政治家と対談した内容をまとめた本を出版されたことを切り口に、その本への反響、また対談しての政治家の印象、政治家と漫才師という、一見共通項がないようでいて実は「世の人々を幸せにするのが仕事」と、西川さんは語っている。
西川さんは1951年生まれ。芸歴も人生上のキャリアも、とても深いものをお持ちだ。その西川さんにして、印象的な政治家は? という問いに「それぞれ個性的で一家言ある方が多かったのですが、主張がぶれず、一本筋が通っていると感じさせる政治家は少数でした」という。
言ってはなんだけれどわたしもこの見方意見に同感だ。
政党の区別なしに、ほんとうに芯が通っていると感じさせる人は少なくなった。ぶれても主張を変えても、気にしないのか平気なのか、ともかく絶対に譲れないという確固たる信念を持っている人が少ないように思う。

話を西川さんに戻したい。
西川さんがお笑いを志したのは、少年時代に民社党衆議院議員、春日一幸さんの立会演説会で感動したのが原点だという。話がうまく、みんな聴き入ってお母さんも涙をこぼしていたのだそうだ。

はじめに書いた「世の人々を幸せにするのが仕事」のあとに、西川さんは「どちらも自分を犠牲にして、目の前の人たちに自らの思いを語り、感動させる。(春日一幸さんの演説を聴いて)ぼくも自分の言葉で、多くのお客さんを感動させたい、と思うようになったのだと。
昔は「笑わせなくては」とあせっていたけれども、たどりついたのは「気負わず自然な自分を出すことだ」と。

この「気負わず自然な自分を出すこと」がわたしの目標だとあらためて思う。
感動するかしないかはお客さんが決めること感じること。感動の押し売り押しつけになってはいけない。
むしろ舞台上で、ありのまま気負わずにいることで、何かが伝わるのではないだろうか、と思う。