おのれを守る智者の口唇を常に意識しながら2011/07/28 22:39:24

こうしてブログやインターネットを使う生活が続いて、とりわけ聴覚障がい者にとって昔とは比較にならないほど、通信や情報を手に入れる環境がよくなったいま、だからこそあらためて考えさせられることが多い。

あの東日本大震災発生直後におきた、千葉県市原市のコスモ石油の事故。「有害物質が雨などと降るので注意」とする出所不明のチェーンメールなどが出回り、一時大変な騒ぎになった。

コスモ石油が否定 「火災で有害物質降る」のメール連鎖
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103120432.html

千葉製油所関連のメールにご注意ください
http://www.cosmo-oil.co.jp/information/110312/index.html

その後も、ネット上でのささいな書き込みや発言がもとでトラブルを招いたという事件や事例が後を絶たない。

今日会社へ行く途中、今月の聖書日課のひとつ、旧約聖書・箴言を読んでいてこんな言葉が目に留まった。

愚かなる者の口にはその傲(ほこり)のために鞭笞(むち)あり 智者の口唇はおのれを守る(14章3節)
邪曲(よこしま)なる心ある者はさいはひを得ず その舌をみだりにする者はわざはひに陥る(17章20節)

文語体聖書はたしかに格調高い文章だがいまの人にはなじみにくいだろう。現代日本語、新共同訳ではそれぞれ、こう訳されている。

無知な者の口には傲慢の杖。知恵ある人の口は自分を守る
心の曲がった者は幸いを受けない。舌をもって欺くものは災難に陥る

ここでわたしが言いたいのは、幸いを受ける受けないということではなく、知恵ある人の口、舌をもって欺くということについてだ。
昨日手話サークルでちょっとだけ「うわさ話」というテーマで話をしたのだけれど、ネットという便利なものだけに限ったことではないけれど、わたしたちのまわりで何気なしに言ったり書いたりしたことが人を傷つけたり社会に大きな影響を与えたりすることがある。ツィッターやフェースブックなどのネット社会が、この春の中東で独裁体制を倒すほど、大きな影響をもたらしたことは記憶に新しい。一方で中国のように、自由な言論や発言が許されず、政治批判や社会批判をしようとするとブロックされたり遮断されたりする国もある。
日本は、言論の自由はあるし、ある程度は何を言ったり書いたりしても許される社会である。そういう国に生まれ生きていることの幸せを思う。
と同時に、ちょっとしたことが周囲の反響を招いたり大きなトラブルになったりすることのこわさ。書いた本人は何気なしにやったつもりでも、どれだけ大きな影響をもたらしているか。自覚をもっているだろうか。

このブログも一時の中断をへて、いつのまにか2万人以上の方が訪れてくださっている。いつもコメントを下さる方がいる一方、そうではなくお読みくださるだけの方もいらっしゃることだろう。コメントのあるなしに関係なく、これまで訪れてくださった方、みなさんお一人おひとりにこころから感謝申し上げたい。

その舌をみだりにすることなく、おのれを守る智者の口唇を常に意識しながら、これからも生きている限り、このブログを書きつづっていきたい。

みなさま、これからもどうかよろしくお願いいたします。