暗いなかでじっくり静かに過ごす2011/04/29 23:40:50

震災から計画停電(輪番停電)、福島原子力発電所の水素爆発に始まる一連のトラブル、さらには節電といったできごとからわたしたちはいかに福島に限らず、地方にある発電所の恩恵を受けているか、言い換えれば地方に負担を押しつけているのではないかということを考えさせられ反省しなければならない。

朗読で演じる『鬼平』がいたころつまり、江戸時代は、いまよりはるかに暗く、室内も見えにくかったはずだ。
いまさら電気のない生活などありえないし江戸時代にかえるわけにもいかない。
こうしてブログやネットをみることができるのも、補聴器が使えるのも、電気があるからだ。しかし、真っ暗な東京の夜を歩いていて、これくらいがちょうどいいんじゃないかなと思う。
わたしは海外で生活した経験はないけれど、ワルシャワ、アムステルダム、ドレスデン、ニューオーリンズ、ニューヨーク、トロント、フィラデルフィア、ロサンゼルス、ミルウォーキー、サンフランシスコ、シアトル、マイアミ、ワシントンDCで宿泊した夜は、いずれも真っ暗。せいぜい街路灯がともるくらいで、ホテルを出てちょっと路地を離れたらもうあたりが見えないくらいだ。ニューヨークはタイムズスクエアなどネオンがまぶしいところもあるけれどそれでも、夜も11時を過ぎれば暗い。お店もほとんどシャッターやケージを下ろして店じまいしている。24時間営業のスーパー、デリカテッセンやレストランはなくはないけど、多くはどんなに遅くても11時でオーダーストップ。東京のように広告やら看板やらめったやたら灯りがともるほどではなかったのを記憶している。

治安からみれば暗いのは出歩くには物騒だけれど、だったら出歩かないで家にいたほうがいい。そういえば欧米では夜は、家族と一緒に過ごす貴重な時間だときいたことがある。日中は職場や学校などの仲間と過ごし、夜は静かに家族と団らんを囲み、できれば聖書を読んで祈る。それが彼らの生活サイクルなのだろう。
日本くらい、夜に街を歩いていても危険な目にあわない国はない。

わたしが子どものころは、夜は家族と過ごす大切な時間だった。
外国のように治安が悪くなるのはいやだけれど、まぶしいくらいの明るい夜ではなく、暗いなかでじっくり静かに過ごす。そういうひとときを取り戻す機会にしたい。