ホッとしています2010/12/03 22:53:55

サッカーワールドカップ、2018年はロシアに。2022年はカタールで、それぞれ開催が決まりました。日本が落選してホッとしています。

なぜって? 理由は簡単。
2022年の立候補の話が出て、正式に立候補を届けたのは1年前の3月のこと。前回の日韓共催から8年しかたっていない、というのが疑問だった。開催誘致のイベントもなく、ほとんど話題にさえなっていなかった。南アフリカの熱狂はどこへ? と思うほど。盛り上がりがないのだからFIFAにしてみたら「ダメだこりゃ」と内心思っていたのではないか。

設備面では、2022年でも20年しかたっていない陸上競技用のトラックに囲まれたフィールドではなくサッカー専用のスタジアムが少ない。「やったばかり」という8年前のスタジアムも、いまのサッカースタジアムとしてみると機能や設備面で劣っていると見られたのも痛かった。ワールドカップでは開幕戦と決勝戦は最低で8万人収容を要求される。これらを満たすスタジアムが日本にはない。
今日のある全国紙に、FIFAの調査報告書が指摘した各候補地のリスク比較表が掲載された。これによると競技場建設で日本はアメリカ、韓国、オーストラリアとともに「低」とみられ、カタールだけが「中」だった。【運営上のリスク】で総合的にも「低」と判断された。これらを日本のサッカー関係者、誘致を考えた人たちはどう思うだろう。

世界400カ国のスタジアムに、試合の立体映像を配信して仮想の観戦体験をする、というプランはまるでSFもどきだけれど、現実にプレーする選手の試合を見たいから、観客はスタジアムへ足を運ぶ。仮想体験ならテレビやパソコンにつなぐゲームで十分ではないか。

チューリヒでのプレゼンテーション。
50~80歳のFIFA理事の前で8歳のタレントだという女の子まで引っ張り出してきたのがいい印象に思えなかった。日本でなら「かわいいわねえ」で通じるけれど、FIFAという魑魅魍魎、駆け引きや疑心暗鬼や、汚い部分もかいま見える国際スポーツの世界では、日本風のそんな甘いものは通用しない。もっと売り込みや交渉ごとに長けた人物が表に出るべきだった。そういう人材が日本には少ない。この国はそういう人物ほど重用されない社会であるとも言える。


2022年は、もし生きていたら60歳ごろ。だいたい、そのころの日本は若者が少なくなって高齢者が増えているだろう。世界からの観客を運搬する交通網や商業設備や宿泊施設など、安全に保たれるのだろうか。そのためにどれだけ国内から人が確保できるのだろう。サッカーの開催国になることよりも大切なことがこの国に山積しているはずだ。

今回カタールが開催地に選ばれたことで、2022年のあとの2大会はアジアからの立候補は、最短でも2034年大会までできない。
サッカーファンにとってはつらいだろうが、これが現実。世界各国で国代表チーム(セレソン)経験者がプレーているサッカー大国のブラジルだって2回しか開催国を経験していない(1950年と2014年)。そういうことを考えたら、開催国になることばかりがすべてではないよ、と言いたい。

本音を言うとね。今年の南アフリカ大会での周囲のバカ騒ぎでサッカーが嫌いになった。いやサッカーではなく、表面だけのバカ騒ぎが嫌いなのだ。
ともあれバカ騒ぎに巻き込まれることがなくなったという意味でも、ホッとしている。