イメージや想像力2010/11/26 20:02:56

わたしと同世代、同じ時代を生きてきた仲間たちのなかには、アマチュア無線や海外短波放送などを聴いていた人もいるだろう。
いまとは違って海外からの情報がリアルタイムに入ってくるのではなく、一日、一週間、あるいは月単位で遅れて入ってくる。たしかに遅れてくるぶんだけ「ナマ」という意味では新鮮さに欠ける。けれども情報に飢えているから、次の情報はないか、新しい情報は何か、という期待感をふくらませていたのだろうと思う。

ネット時代になっていま、アジア大会女子ソフトボールの生中継を見たり、試合速報が瞬時に手に入ったりできるようになった。
それはそれでいいけれど、「ナマ」でありすぎるゆえの、イメージや想像力をかきたてるとはいえない。

海外短波放送やアマチュア無線をやっていたころ、混信や雑音の中からもれてくる音を必死になって聞き取り、返事をしたりレポートを送ったりしていたあのころ。たとえばBBC日本語放送で「今日の新製品」というコーナーがあった。タイトルどおり、新製品を紹介してくれるのだが、たしかスペースシャトルのプラスチックモデルが取り上げられていたことがあった。写真でみればわかるけれどラジオだから当然、映像はない。ではどんなものだろう。ディテールは実物どおりだろうか、重量感や質量はどんな感じだろう。
というように、ラジオから聞こえてくるひとつひとつが、わくわくさせてくれたものだった。

少しずつラジオが見直されているそうだ、と聞く。
ネットで瞬時の情報を見たり聞いたりする楽しみの一方、ラジオや新聞などで、イメージをふくらませ情報を確認したりネットのそれと突き合わせたりする。
ひとつだけにこだわらず、いろいろな角度から情報を確かめる力を身につけたい。