障がい者にも社会に参加しているという実感喜びを2010/11/19 22:44:19

これだけ障がいのない学生でさえ内定率が低いいま、障がいのある学生はもっとたいへんな状況に置かれているのではないだろうか。
わたしの体験でいうと、就職したばかりのころ、まだ聞こえていたために、意識していなくても周囲がわたしを聞こえている人と同じようにみてしまったのではないだろうか。いまでも初対面の人に障がいを説明すると「そうはみえない」という返事が来るくらいだから、あのころはもっとそう思われていたのではないかな。

障がいのある学生の場合、仕事を覚えるという大事な目的のほかに、もうひとつ、障がいゆえのトレーニングというか、周囲とのコミュニケーションや対人関係。それらをサポートしてくれる環境が必要なのではないだろうか。ジョブコーチだ。それも障がいのない人ではなく、同じような障がいのある人からのコーチサポートが。上司や同僚に話せない悩み事や対人関係。働きやすい仕事環境。それらを一緒に解決したり手伝ったりしてくれるサポートはわたしのときはまったくなかった。たぶんいまでも同じだろう。

新聞報道によれば、国からの助成金を利用できる社会福祉法人やセンター、企業などに在籍しているジョブコーチは、全国で1061人しかいないのだそうだ。嘱託だったりほかの業務との兼務だったりで、十分とはいえない。彼らへの待遇も課題だ。

ふりかえってみると周りは聞こえる人ばかり、その中でしか対人関係を経験してこず、聞こえる人に無理やり自分を合わせることでしかコミュニケーションを図れなかった。ろう学校で育っていない上に、周りに聞こえない人がいなかったからロールモデルや参考になるような人もいなかった。まして手話を学ぶなどの経験さえもなかった。そういう学生時代だったからよけい、自分をさらけ出して交わるのが苦痛だったともいえる。いまは手話ができるからまだ、いくぶんかは楽だけれどね。
ジョブコーチも、障がいのない人ではなく障がいのある人、同じ障がいのある人がいることによって、新人はずいぶん心理的にも楽になるのではないだろうか。
ふと考える。企業では障がい者が少ないために、ジョブコーチとなる同じ障がいのある人が少ない。だからいつまでたっても根本的な解決にはなっていない。

繰り返すけれど、昨今の経済状況や就職内定率の低さは、障がいのない学生以上に障がいのある学生にとって厳しい現実であろう。まして雇用する側も、本音を言えばできるなら罰金を払ってでもいいから障がいのある学生は断りたいのだろう。障がい者の雇用率が障害者雇用促進法で定められた雇用率(従業員1.8%)以下のところがまだまだ多いのだ。
だが障がい者も社会の財産である。「人は宝」。企業や自治体は障がい者を雇用してほしいと思うし、雇用したなら、ケアもサポートもできるだけ図ってほしい。たしかにお金もかかるし、簡単にはいかないのは承知している。
障がい者にも社会に参加しているという実感喜びを感じさせてほしい。