人間のもつ不条理や愚かさ、いろいろなもの2010/10/06 22:08:45

今回『ゆずり葉』と決める前に、実は昨日取り上げた『鬼平犯科帳』も考えてみた。いまNHKで放送されている『龍馬伝』だからではないけれど、司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』も、チラッと頭の隅にあった。とはいえいくらなんでも、便乗しすぎと思い、『鬼平犯科帳』も『竜馬がゆく』もやめた。

もうひとつ、これらをあきらめた理由は、時代劇であるがゆえに、使い慣れない言い回しや言葉表現が出てくること。それを手話に直すのは、簡単なようでいて、実際は難しい。時代劇にはそれに合った言葉があるわけで、現代日本語に直してかえって意味合いがおかしくなっては、元も子もない。だから時代劇は難しい。

映画に目を移す。
今年は時代劇ブームといってもいいほど、時代劇映画が多く作られ公開されている。男女逆転で、女性将軍と彼女に仕える男性たちを描いた『大奥』、江戸幕府末期、開国か攘夷かをめぐり対立、安政の大獄などを指揮した(実際は彼一人でやったのではないが)大老井伊直弼の暗殺までを取り上げた『桜田門外ノ変』、11代将軍徳川斉昭の25男・明石藩主松平斉宣が参勤交代時、尾張藩通過中の切り捨て御免に尾張藩が激怒したという記録を基にした、尾張藩士と明石藩士の、13人対300人超の決戦を描いた『十三人の刺客』などなど。テレビでも時代劇専門チャンネルがあり、『鬼平犯科帳』もDVDがリリースされている。マンネリだ予定調和だと言われながら続いている『水戸黄門』も、新しい出演者を迎えて新シリーズが始まる。

現実の世界は長谷川平蔵や坂本龍馬や中岡慎太郎や山内容堂、徳川将軍や幕府大老などといった史実に現れる人たちばかりではなく、無名草莽の多くの人たちがあって、はるか昔から営みを続けてきた。そして人類の歴史続く限り、これからも続くだろう。わたしもおよばずながら、この歴史にかかわり何かを残して生きたい。

HISTORYというけれど、実際はHEだけではなくSHEも、いろいろな人がいて続いてきたのだ。
そのなかで差別されたり抑圧されたり暴力のもとに置かれてきたり、という悲しいできごともあった。アンネしかりアウシュビッツしかり。

時代劇をみつめていくなかから、人間のもつ不条理や愚かさ、いろいろなものをみつめることができる。