どうしたらできるかを考えたい2010/07/27 21:50:48

今日も暑い一日でした。わたしはわからなかったのだけれど、前橋など各地で雷があった、ともきいた。この暑さはいつまで続くのか。

さて、今日2冊の本を購入してきた。
うち1冊はすでに読んだことのある、「筆談ホステス」として知られる斉藤里恵さんの近著、『筆談ホステス 母になる』と、国立音楽大学講師の古山和夫さんの『秘密諜報員 ベートーヴェン』。
今回はまず、『筆談ホステス 母になる』をとりあげてみたい。

この本を購入した理由は同じ聴覚障碍者である斉藤さんの生きざまと本を通して伝わってくるお人柄や文章にひかれてのことだ。たしかに一時はシングルマザーで生きることを選び、妊娠中にマタニティーヌードを撮影した、いくつかのヌード写真もあるけれど、興味本位からではなく、同じ聴覚障碍者ゆえに手にとって読みたいと思ったのだ。
斉藤さんの書いた前著もそうだけれど、ホステスという仕事ではなくひとりの人間として、しっかり足を地につけて生きているなあとあらためて感じる。

斉藤さんはろう学校に通っていたことがあるそうだが、ご自身は手話ができない。けれどいろいろな経験を積み重ね、出版などで有名になる一方でこころないバッシングや誤解などに出会いながら、人と交わり、ご自分を高めていったのだろう。この本に掲載された写真のいくつかからも、見た目だけではなく、内面からかもし出されるとでもいうのか、凛とした美しさを強く感じさせられた。

この本の中にこういうくだりがある。
「耳が聴こえないことであきらめるのではなく、耳が聴こえないなら、どうしたらできるかを考えたい」

大学時代、アルバイトをしたいと思ってマクドナルドに面接に行った。
出てきたのはアルバイト向けに書かれたマニュアルと、聴こえないという現実だった。いま振り返ってみれば、そこであきらめるのではなくどうしたらできるかを考えるべきだったのだが、そのころのわたしはそこまで思いが回らなかった。

あのころの自分ではなく、過去にいつまでもこだわるのではなく、未来をみつめるために、聴こえないからだに生まれたからこそできることがあるはずだと信じている。
「誰しもたった一度きりの人生という道を歩いています。そして今、私は妊娠という人生の大切な出来事に直面しています。
『無理だろう』
という意見をいただくなかでも、迷うことなく自分で決意したからには、その道を威風堂々と歩いていかなければならないのだと感じています」

斉藤さんのこの文に強く共感している。
かならず道がある、きっといつかはかなうのだ。
だから今日も明日も歩いていこう。人生というたった一度きりの道を。