ひとつひとつ丁寧に頭の中で想像して演じたい2010/06/09 23:00:49

本番まであと3カ月余り。全体の7割まで手話表現ができた。

今日までやってきた手話表現を、手の位置から表現の強弱・登場人物の内面の吐露表現・吾朗とさやかという男女に分けてはっきり伝わるような表現という観点から、ご指導をいただいた。

手話表現で大事なこと、その1。「メリハリ」。
同じようなテンポや速さでは、観客には伝わりにくい。極端すぎても困るけれど、~ない、という場合、ただ手を振って表すのと、ゆっくり、速く、強く、という場合とでは観る人に違って伝わるだろう。強調したい部分こそ強く、はっきりと。

その2。内面の表現はポイントをつかんで。
さやかが吾朗に、「役をやり遂げてほしい。自分を売り出すチャンスくらいにしか考えていない。自分も聞こえないのに同じろう者を見下している」となじる場面。あなたならどこを強調して読みたいだろうか。
わたしは、「自分を売り出すチャンスくらいにしか考えていない」に始まる部分を訴えたい。次に、吾朗が小学校時代、普通の学校でひとりぼっち。みんなに受け入れられたくて、あるとき先生のものまねをやったらウケた。聞こえる世界で聞こえない自分が生きていくにはこれしかない、と感じたというセリフ。吾朗が語るセリフはそのまま、わたしの実体験でもある。だからすべて語りたいけれども、それじゃワンパターンだ。だからどうするか。「みんなに受け入れられたくて」から、観衆へ訴えるようにからだを向け、「聞こえる世界で聞こえない自分が生きていくにはこれしかない」で本来語りかける相手である、さやかへ手とからだを向ける。

長い話になったけれど、要は朗読も手話つき朗読も、言葉やしぐさで物語に引き込む表現だ、ということ。それは落語でも演劇でも言える。演劇なら複数の役柄を俳優さんが分担して演じる。朗読や手話つき朗読は、自分でいくつもの役を演じ分けなければならない。それはどちらかと言えば落語の世界に似ている。

ひとつひとつ丁寧に頭の中で想像して演じたい。
手話表現も力強さ、丁寧さが求められる。手話も声も、男役・女役・ナレーションと丁寧に演じ分けたい。女役の手話は少し女性っぽく小さく動くように。男役は強く大きく演じる。

3カ月余り。本番には多くの人に見に来てもらいたい。