懐の深さ2010/03/16 23:28:27

言葉というのは、実に難しくフクザツで、それゆえにおもしろいものだ。
難聴者が使う手話に「頭割り」というのがある。食事を一緒にしたときに会計でお金を均一に出し合うという意味だ。どう表現するかというと、ひたいに親指を曲げた手を、指先を上に、小指を前方に向けてあてる。右から左へ、ひたいを分割するようにあてていく。

ところがこれはろう者の場合、「考えごとで頭がいっぱい」などという意味になるのだ。だからろう者が中途難聴者の手話を見てお互いに通じないということもある。つまり同じ表現でも全然意味が違うということだ。

だか困る、おかしい、ではない。そのお互いのずれを「なるほど」と認めあえる懐の深さをもっていたい。