最後に残ったもの2010/03/12 00:07:38

仕事の帰り際に同僚から「おつかれさまでした」と。たどたどしいというか恥ずかしさを越えてあらわしてくれた手話が、どんな言葉よりもわたしのこころに響いた。

何を大事にしたいだろう。人生で。
お金? 財産? 名誉? 社会的地位? 出世?

お金は墓へ持って行けないし、財産だってそうだ。上を見ればきりがない。とはいえ何億円も財産があるというこの国の首相には、わからないだろうなあ。お金や財産の意味は。
名誉は? どんだけ名誉があるから、葬式に来てくれるとは限らない。名誉を偉いとか価値があるとも思えない。
社会的地位も出世も、う~ん、わたしには向いていないねえ。「長」がついていても、尊敬できない人をいままで何人か見てきた。もちろん尊敬できる人もいたけどね。
葬式の話が出たついでに、ぶっちゃけ言ってしまうと、たくさんの人に来てもらうより、ほんとうに大事だと、わたしを思ってくれる人だけが来てくれたらそれでいい。100人も1000人もなんて、ありえないでしょう。第一、わたしのいま通っている教会ではそんなに人が入れないし(笑)。

と、順々に数えてそぎ落としたり選別したりしていって、最後に残ったもの。
それは手話。

自宅に先生をお招きしてご指導いただいたり、手話ソングをしたり手話つき朗読をしたり。
なによりコミュニケーション、笑ったり泣いたり怒ったり、手話で話をするひとときが一番楽しい。

一緒に人生の苦しさ楽しさ喜び悲しみを分かち合える。
そんな人と、ずっと手話で語りあえたら。

人生の終わりの瞬間まで、あと1時間しかないとしても、いや1時間しかないからこそ、「ありがとう」といえるような手話を。