日本代表が初の海外遠征へ2010/01/02 23:13:20

日本アメリカンフットボール代表チームのミニチュアヘルメット
今年はサッカーのワールドカップ南アフリカ大会があるけれど、あまりサッカーに関心のないわたしは、たいして興味がわかないし観たいとも思わない。テレビ中継もおそらく深夜から未明にかけてのことだろうし。
けれど今年4月に、日本代表が初の遠征、ときいて、どうしようか、悩むとともに大きな関心と期待を寄せている。

もちろんサッカー代表ではない。アメリカンフットボールの日本代表チームだ。

日本アメリカンフットボール協会の公式サイトによれば、2010年4月24日、日本代表がドイツ・デュッセルドルフへ遠征してドイツ代表と試合を行うことが決まったという。これは2009年7月に第1回IFAFジュニア世界選手権が行われたさい、ドイツ協会から日本協会へ、日本代表の招へいと国際試合の打診がなされたのを受けてのもので、「2011年に予定されている、第4回IFAF ワールドチャンピオンシップ(W杯)へ向けた、代表チーム強化策の一環」だという(日本協会公式サイト)。「German-Japan Bowl」と試合名も名付けられた。ちなみに2011年に開催される第4回アメリカンフットボールワールドチャンピオンシップ(W杯)は、オーストリアでの開催が決まっている。前回は川崎が会場だった。

『堂々たる前進 日本アメリカンフットボール六十年史』という、日本アメリカンフットボール協会発行の記念誌によれば、1936年1月3日、ギルモア・フィールドで南カリフォルニア高校選抜と全日本が対戦したのが、ナショナルチームの海外初試合だという。全日本といっても、早稲田大学、明治大学の各7名を含む選手20名、コーチ、役員合計23名。だが戦前のこと。2年前の1934年に東京学生連盟が発足してまもないころに本場アメリカへ渡ったのだから、いま考えても信じられないことだ。

それ以後は太平洋戦争が終わって19年後の1964年12月18日、日本でアメリカンフットボールが始まって30周年を記念して、日本大学と関西学院大学から12名ずつ、慶應大学と法政大学から各1名ずつが参加して、ハワイはホノルル・スタジアムで全日本対ハワイ大学OB(49ers)が対戦したのを最後に日本代表が海を渡ることはなく、本場アメリカの大学はもちろん韓国の高麗大学も含めて、彼らを招いて日本で試合をするばかりだった。

過去3回のIFAF ワールドチャンピオンシップやIFAFジュニア世界選手権を別にして、「All Japan」、戦前は存在しなかった社会人選手も含めた、ほんとうの意味での全日本ナショナルチームが外国へ遠征してその地のナショナルチームと対戦するのは、日本フットボール史上、おそらく最初であろう。

http://americanfootball.jp/main/2009/11/2010-4.html
(日本アメリカンフットボール協会の公式サイト)
http://www.g-f-l.org/
(German Football League公式サイト)

日本では本場アメリカ以外では競技が広がっていないように思われ、あまり知られていないことだけれど、ドイツは卓球やハンドボール、サッカーだけではなくアメリカンフットボールでも強豪国である。さきの日本協会のサイトによれば「ドイツには270のクラブチームが存在し、競技者人口は31,000人超です。トップリーグとして12のクラブチームからなるGerman Football League(GFL)があり、German Bowlでチャンピオンシップを争います」という。3年前に訪れたドレスデンでも、Dresden MonarchsというGFLに属するチームがある。

さて、どうするかなあ。といってもドイツへ行くと決めたわけではない。

ひとつだけ書いておこう。

昨年秋に話題を集めた「事業仕分け」という民主党政権の取り組みのなかで、マイナースポーツへの助成金打ち切りなどという意見が出された。
ひとくくりにマイナーというけれど、メジャーマイナーを問わず、どのスポーツにも、情熱をもち、一生懸命に取り組んでいる人たちがいる。なかにはほんとうにスポンサーも企業の支援もなく、遠征や国際試合への参加さえも、自腹でやりくりしている人たちがいるのだ。
アメリカンフットボールも、テレビ中継や試合を伝える新聞報道が少ない点ではマイナーかもしれない。けれど、ドイツと戦える、アメリカに勝つことを目標にしている、次世代に競技を広めたい、いろいろな思いを込めている人たちのことを、あなたがた政治家や議員はどう思っているのか。
もちろんひっ迫した国の財政などを考えれば、事業仕分けもやむを得ない部分がある。だが、マイナーだからといってその存在まで切り捨てるような、無機質な政治や政策は、かえって乾ききった大地のようなものだ。そこに生きようとしている人たちのこころを打ち壊す暴力であるとさえ思う。

わたしにとって今年関心を抱くスポーツイベントの一つをあげるなら、この「German-Japan Bowl」も挙げたいと思う。メジャーリーグと並んで、サッカーのワールドカップ以上に、とても大きな関心を抱いている。