アメリカという国のいい面と悪い面2009/03/07 23:25:53

3年前から始まった、野球の国・地域別対抗戦、第2回ワールド・ベースボール・クラシック。
オリンピックで野球とソフトボールが競技から外される一方で、野球の世界的普及をテーマに始まったのだけれど日本と韓国では盛り上がる一方、野球の母国・アメリカはいまひとつだという。

無理もない。いまはメジャーリーグのスプリングトレーニング真っ最中だ。マイナーリーグの選手にとってはメジャーへ上がれるか、メジャーの選手にとっては落とされるか。選手のふるい落としとチーム作りの大事な時期である。4月になれば公式戦が始まり、ましてシーズン真っ最中の夏にリーグ戦を中断するわけにはいかない。「ミッドサマークラシック」と呼ばれるオールスターゲームもあるし、興行上、盛り上がる時期にリーグ戦をある期間中断するのは、放送権料やらチケット販売からスーペニア売り上げなどの営業収入の理由からメジャーリーグがいい顔をしない。ナショナルチームを作るにもやはりそれなりの時間が必要だから、スター選手をすぐに集めても簡単にできるわけがない。メジャーリーグが五輪への選手派遣を断ってきたのはこれらの理由からだ。
秋に入ればワールドシリーズへ、プレーオフをかけた戦いになるから、選手もチームも中断なんてなおさらしたくないだろう。さらには大学とプロのアメリカンフットボールのシーズンが始まる。というわけで、本来であればメジャーにとってチーム作りにあたるはずの3月という中途半端な時期の開催では、盛り上がりに欠けるのもやむを得ないか。

日本や韓国が盛り上がるのは、日韓両国のライバル関係もさることながら、アメリカを相手に戦うということもあるだろう。ナショナルチームとしてアメリカへ乗り込み、メジャーリーグのチームの球場で試合ができるというのは、西武や阪神といったリーグの単独チームとはまた違った楽しみと興奮をかきたてる。

この、アメリカとほかの国の温度差というか、考え方の違いに加えて、アメリカ主導の運営がまた問題である。
メジャーリーグとメジャーリーグ選手会が50%ずつ出資しあってつくられた運営会社がWBCを主催している。収益は日本のプロ野球にはすぐには入らず、この運営会社に入ってから配分されるのだという。つまりアメリカが主催してアメリカが中心に動いているのに、肝心のアメリカ国内は、メジャーリーグに目を向けている、といういびつな構図らしい。

これでは、いずれ反発されても仕方ないかもしれない。アメリカという国のいい面と悪い面をはからずもみせてくれた、そんな気がする。
ともあれ、日本代表の活躍を期待するとともに、アメリカの鼻を明かしてほしいとも思う。メジャーリーグの素晴らしさを認めているからこそ、日本を含めたほかの国がアメリカに勝ってほしいとも思うのだ。

今日の日本代表対韓国代表戦。14-2の大差で7回コールド勝ちをおさめ、日本代表の2次ラウンド進出決定。