便利さは2008/12/03 23:03:27

アメリカを何度も旅しているが、多くの場合、というよりアメリカという国は、車なしでは生活が成り立たない、といっていい。
初めてメーンランド、アメリカ本土に足を踏み入れたのは、ロサンゼルスだった。
ロサンゼルス国際空港へ近づいた機窓から目に飛び込んだのは、幾多どころか無数に広がった高速道路。トロントもシアトルも道路網が張り巡らされていて日本の比ではないけれど、ロサンゼルスのそれはあまりにも広大無数にありすぎて、あいた口がふさがらなかったのを忘れることができない。

ところがこのロサンゼルスも、かつてはサンフランシスコのような路面電車があったときいて、目が点に。
1940年代、ロサンゼルスを縦横に走っていた路面電車がバス会社に買収され、バス会社の大株主はGM(ゼネラル・モーターズ)や石油会社、タイヤメーカーだったという。電車路線はバス路線に置き換えられ、1960年代には撤廃されたという。
ひとくちにロサンゼルスというけれど、この街はそれだけでゆうに関東平野に匹敵するほどの広さをもつ。住宅が郊外に虫食い状に広がる「スプロール現象」なのか、街が点在しているという状態らしい。それは都会の空洞化や治安の悪化などのマイナス面につながるという。

車なしである程度生活できるのは、ボストンやニューヨークなど、地下鉄による交通基盤が確立されたところくらい。あとはもう車なしでは移動すらできない。マイアミ、ニューオーリンズ、シアトル、ミルウォーキー、フィラデルフィア。どこもタクシーなしでは行けなかった。タクシー以外で球場に行けたのは、バスのあるサンフランシスコとBARTのあるオークランドくらいか。
ところが最近の報道では、路面電車を復活させようとか、自転車を利用するといった動きがあるという。

写真はオークランドの、少し前まで、マカフィーコロシアムという名称だった、Oakland Coliseumの周りを取り囲むように並ぶ駐車場に止められた自動車。向こうに見えるのはNBAプロバスケットボール、Golden State Warriorsの本拠、Oracle Arena。
ここだけではなく、フットボールスタジアムやベースボールスタジアム、ボールパークを取り囲む巨大な駐車場はアメリカ社会の象徴でもある。
だが、金融危機で車が売れないという問題だけではなく、地球環境を考えた場合、車に依存した生活はもはや終わりが近づいているのかもしれない。

便利さとはいったい、なんだろう。