人と街の双方にやさしい2008/09/12 18:57:22

もう1年前になる、ドイツとオランダの、朗読舞台のための取材をかねた旅行。
これはオランダ・アムステルダム市内を撮影したなかの一枚だ。
路面電車のレールが敷いてある。自転車を借りてアムステルダム市内を走り回っていて、石畳と路面電車のレールに車輪をとられて転倒して、近くを通りかかった救急車の中から「大丈夫か、あんたこれに乗って病院へ行こうか?」と呼ばれ、自転車はフレームを曲げてしまった、なんていう、みっともない恥ずかしい思い出もいまとなっては懐かしい。

けれどここではそれが主題ではない。
路面電車と自転車。人と街の双方にやさしい交通機関、手段があるということだ。
東京を歩いて、たしかに地下鉄やバスなど交通機関が発達しているから、耳が不自由なわたしでも行き先に迷わなければある程度は行動に不自由することはない。
ところが自動車の交通量が最近の原油高などのために高速道路こそ減っているとはいえ、やはりCO2など環境問題を考えると、いつまでも自動車にばかり頼るわけにはいかないのではないだろうか、と思うことがある。
都内では都営交通局の都電荒川線しか走行していないが、東京五輪前までは都内を路面電車が走っていたと聞く。江戸川区内には路面電車が走っていた跡が今も残っているそうだ。
そんなことをきくにつれ、路面電車を復活してはどうだろうかと思う。
現実的には電線の敷設が必要だし、道路を削ってレールを敷くのも大変だとは思う。けれども車にのみ頼らない、路面電車を見直すことはけっして無意味ではないと思うのだが、どうだろうか。

もうひとつ。自転車だ。
何度もここで書いたことだけれど、ほんとうに難聴者や高齢者、乳幼児を連れているお母さんたちにとって自転車は、危険なものにみえることがある。
歩いていて、後ろから追い抜きざまに走っていく自転車はこわい。
聞こえないからとはいっても、近づいてもベルひとつ鳴らさない、接近を知らせようとはしないマナーの低さもそうだ。
ヘルメットをかぶらない、自転車を走らせながら携帯電話でメールを打ったり電話をしたりしている人をよく見るが、自分だけは大丈夫だと思っていても、周りはそう見えないことに何で気づかないのだろう。

オランダでもドイツでも、自転車専用レーンがあって、それ以外を走るとアムステルダムではたとえば逆走しても厳しく怒られるそうだ。

ともあれ、自転車で、歩道をわがもの顔に走られると、ほんとうにこわいとしかいいようがない。
自転車も安全に利用すればこれ以上便利な乗り物はない。
だからこそ、利用する人も歩行者も、気持ちよく歩き走行したい。