押して引く!2007/10/20 23:55:25

英語版表記の東京メトロ&都営地下鉄ルートマップのタンブラー
へえ! と思ったのは、今日発売されたタンブラー。東京メトロと都営地下鉄のルートマップが英語表記で描かれている。これはおもしろい、コーヒーをのみながら「今度どこへ行こうか」と小さな旅に出てみたくなる。ほかの街や外国の地下鉄でも、こういったグッズがあると楽しそうだね。

さて今日は朗読のレッスン。12月までのレッスンで取り組んでいるのは唯川恵さんの『不運な女神』(文春文庫版)から、『枇杷』。

136ページから始まる夫婦の電話での会話を、主人公である妻役とその夫役のそれぞれになりきって女性らしく男性らしく、口調も声色も変え、感情を込める場面も性別にふさわしく演じてみた。そうしたら先生も仲間も、う~んとおほめをくださったり笑いが出たり。演じ終えて役にのめりこんだからか、せきが出てしまった。楽しい。

で、タイトルに書いた「押して引く!」。

136ページ、4行目から。
「別れた妻からの届け物を拒否することもできず、伯母からなどと嘘をついて佳奈子や知絵に平気で枇杷を食べさせてきた守山に、皮肉のひとつも言ってやらなければどうにも気が済まない。佳奈子は強ばった思いで、翌日オフィスに電話を入れた」

このたった数行のくだりは、実に押して引くという表現を必要とする。
「別れた妻からの」から「どうにも気が済まない」までは佳奈子の心理描写である。心理を描いているのだから、佳奈子の怒りと皮肉を言いたい心境を表現する。しかし次の「佳奈子は強ばった思いで」から「電話を入れた」までは、行動ではあるが心理ではない。場面転換というか状況転換として、この個所は冷静に淡々と読むべきである。一歩ひいてみることで聴いている聴衆にも、物語の展開が伝わるのではないだろうか。

手話を入れたらなおさらそうだと思うけれど、朗読でも演劇でも、別人格になりきって、その別人格を自分なりに解釈し、別人格をあたかもそこに実在するかのように演じる。これはやってみるととてもおもしろくやみつきになる。自分ではない別人格になることができる。ひとりで海外へ出かけ取材旅行をするのと同じほど、わたしにとって興味とやりがいをおぼえることである。

来年9月のステージになにをするかはまだ決めていないが、今回手話・朗読・音楽・スライドを使った表現をしたことで、自分にとってやっていきたいものがおぼろげながらみえてきた。
しかし、押して引くということは大事である。

押してばかりでは一方通行になるか、周囲との摩擦を生みかねない。
押すだけではなく一歩ひいてみること。実生活でもそうありたいものだ。