想像する力2007/06/18 23:28:57

今年も朗読の舞台に立つことになった。
候補として文語体聖書、『アンネの日記』(アンネ・フランク著)、絵本『だいじょうぶだよ、ぞうさん』(ローレンス・ブルギニヨン 著 柳田邦男 訳)、『塩狩峠』(三浦綾子著)を考えた。そのなかから今回は、『アンネの日記』を読むことに決めた。朗読の先生は、聖書は、他宗教の人がいることを考えると無理ではないかと。『アンネの日記』『だいじょうぶだよ、ぞうさん』がいいとおっしゃってくださった。

朗読仲間からは「重苦しい内容だよ」と、『だいじょうぶだよ、ぞうさん』のほうがいいのではないかと言われた。この作品は読むと10分を超えてしまう。長すぎるのでカットするなど工夫が必要だという。しかしカットすると、物語の流れが分からなくなってしまう、主人公であるゾウとネズミの成熟成長が描かれない。かといって書き換えるのは許されないことである。

重苦しい内容ではあるが、今日なお世界で戦争があり、傷つき死が身近にある人々がいる。けっして色あせないテーマである。演じ読む意味はあると、『アンネの日記』に決めた理由である。できるなら日記の一部を手話つきで読んでみたい。

もし時間が許されるなら、事前にアンネが住んだ、オランダのアムステルダムの隠れ家と、先日見た映画『ドレスデン、運命の日』の舞台、ドレスデンを訪れたい。アンネの最期の地、ベルゲン・ベルゼン強制収容所はドイツ北部にあるが、交通機関が少なく宿泊場所もないため、断念するかもしれない。アムステルダムでアンネがおくった日々を想像し、ドレスデンも映画に描かれた惨禍からの復興をみたい。がれきから再建された聖母教会も。

ドレスデンとアムステルダム。人間の本性は善であると信じ書いたアンネと、大量虐殺を行い多くのいのちが奪われたドレスデン。そこに何を見、どう感じるのか。

追体験することは難しくても想像することはできる。
想像する力がないと、他者への共感も理解することもできないのではないだろうか。

朗読舞台が終わったら、今度は手話ソングに取り組むつもりだ。何曲かやってみたいものがある。


謙虚に、率直に、真摯に向き合い、話を聞けるようになりたい。
耳がきこえなくてもこころは不自由ではない。