泥沼化したイラクを2006/12/07 23:38:25

11月にあった、アメリカの中間選挙で、ブッシュ大統領の共和党が負け、民主党が連邦議会で多数派になった。これを境に、イラク問題をどうするかということがあらためて議論になってきた。

事態はもうのっぴきならないところまで、はっきりいえば泥沼化していると言えるだろう。イスラム教内の宗派対立に加えて、国際テロ組織が入り込んだり、イラクの軍や警察の内部にも宗派対立があるなど、複雑極まりない。日に10人も20人も爆弾テロで死者が出る。最近の報道によれば、多数の人が集まるところに自爆攻撃をかけるだけではなく、なんと遺体に爆弾をしかけるのだという。家族がいるのではないかと、遺体を確かめに来た人たちを狙ったという。同じ不特定多数を狙ったテロでも、悪質さは段違いだ。

こういった事態を目の前にして、共和党と民主党の超党派でつくられた「イラク研究グループ」なるものがブッシュ大統領に「2008年前半で米軍の多数撤退は可能」「イラン、シリアなどといった周辺国との外交」といった提言を行った。これをふまえてアメリカ政府にもイラク問題を軍事面だけではなく多方面から取り組む必要に迫られるだろう。しかし一朝一夕で解決される即効薬などあるわけはなく、ましてブッシュは相変わらず「すべての提言に同意することはない」と、あくまでも自己の正当性に固執しているようだ。

クリスマスを目の前に、暗たんたる気持ちにかられるのは、わたしだけだろうか。
こんな、テロで何十人ものいのちが奪われるような状況は、はっきり言って普通ではない。いくらあの9月11日の同時多発テロがあったにせよ、当初イラク戦争の開戦理由とされていた「大量殺りく兵器」が見つからなかったのははっきりしているのだから、どう考えてもイラク戦争ははやるべき戦争ではなかった。一方的に乗り込んで人の国をめちゃくちゃにしたという意味で、61年前の日本占領とは異なる。あのころもけっしてよい時代とはいえなかったけれど、米兵のあいだに、日本に対する敬意は少なからずあったし、むちゃくちゃな占領ではなかった。しかし今のイラクについて国連のアナン事務総長が「独裁者がいてもまだましだった」と発言したのも無理はない。

ブッシュにせよ、政治のリーダーといわれる人たちに欠けているもの。
それは謙虚さではないだろうか。キリスト教は大事なことであるけれど、自分の信仰を自分の正しさと混同したり他宗教を見下したりするのは間違っている。はっきりいえば自分を神の位置にまで引き上げている。それは本当の信仰ではない。国防長官を更迭されたラムズフェルドも国連大使をやめることになったボルトンも、他者の意見に耳を傾けることはなかっただけではなく、それら異論を真っ向から否定し、切り捨てたという。

話をイラクに戻そう。
こんなひどい泥沼の状況にあって、希望を失わないでほしい。
しかしこんな状況で新しい年を迎えなければならない、彼らの苦しみに、胸がつぶれる思いだ。

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