アメリカよ!2006/09/19 22:54:14

今回数年ぶりに北米旅行で2都市を回った。カナダとアメリカ。しかしどうだろう、語学力の足りなさを別にしても、空港の入国手続きでほとほと疲れたのはカナダではなくアメリカだった。

あれこれ聞かれたり不手際もあったけれどカナダではそんなに不愉快な思いはしなかった。不手際というのはなぜ注意されたかわかっているから、こちらも納得できるしなるほどと思える。
しかしアメリカでは、カナダからサンフランシスコに入ってすぐ、空港内の別室に連れて行かれ、米国市民以外の他国籍の人たちとともに調べられた。両ひとさし指の指紋を採取され、カメラで目の光彩を撮影された。これらは人物データに登録されて、不審と思われる人物が入国すると照合されるという。データを採取されたあとにまた、靴を脱ぎ、貴金属類を外すように命じられ、人間ドックのような機械で体内に爆弾などを隠していないか厳重にチェックされる。

昔もたしかに入国は厳しかったしある程度の制限はあったが、今回はやりすぎというか不愉快きわまりない思いを味わった。トロントのピアソン国際空港での出国手続き中、ふたりの老婦人と並んでしつこく検査されたが、彼女らも不満そうな顔をしていたのを覚えている。顔を見合わせてお互い苦笑していた。

今回の旅行でわたしは、アメリカ国歌をアメリカ手話(ASL)で覚えることを目標のひとつとしていた。
アメリカ国歌の歌詞に出てくるふたつの言葉。自由と勇気。

アメリカ国歌は歌詞をみても戦争が背景にあった。イギリスからの独立戦争などで多くの犠牲を出した。それが建国の礎となっている。多くの犠牲をへて新しい開拓の国をつくり、そこにいかなる制約も束縛もない自由な国をつくる、はずだった。実際の歴史はそんなバラ色ではなく、アフリカンアメリカンを奴隷として扱い、ネイティブアメリカンを迫害して土地を収奪してきた。あとからやってきた日系人などを差別してきた。しかしこころある人たちによって真摯な運動が続けられて、先住民やアフリカンアメリカン、移住者の権利が認められてきた。

わたしはアメリカンフットボールが好きだしアメリカ手話も覚えたいと思っている。それほどにアメリカが好きだ。アメリカ人だって同じ人間だ。スタジアムでもストリートでもホテルでも、笑顔で接してくれた多くのごく普通のアメリカ人を忘れることはできない。
しかし今回の旅行で味わった不愉快な思いとアメリカ国歌にある、自由と勇気と、民主主義をみるとき、あの忌まわしい9月11日のテロでハリネズミのように自国を守ることに汲々とし、テロを防ぐと言いながらイラクにいまだ自由をもたらせていない矛盾を強く批判する。

また訪れたいアメリカというすばらしい国を思う。
いまもなおテロの恐怖にさらされている、行ったことのないイラクの人たちを思う。

いつになったらこの星に住む人たちに真の平和が訪れるのだろうか。