野球がBeseballを超えた日2006/03/22 23:11:28

 わたしの世代は小さいから親しんでいたスポーツといえば、男の子なら野球、女の子はどうだろう。バレーボールあたりだっただろうか。
 その野球、今年は大きな転換の年になるかもしれない。

 2006年3月、ほぼ1カ月をかけてひらかれた、WBC(2006 World Baseball Classic)。
 その初代チャンピオンに日本のプロ野球とメジャーリーグから参加した2選手を含む、日本代表チームが輝いた。
 当初から紆余曲折のあった日本代表チームだった。
 メジャーリーグから当然参加するものと思われていた松井秀喜(ニューヨーク・ヤンキース)井口資仁(シカゴ・ホワイトソックス)だが、松井はワールドチャンピオンを目指す理由で、井口はメジャー2年目のためチームで調整したIいという理由で、それぞれ参加を辞退。ほかにもけがでやむなくあきらめたりはずれたりした選手もいた。
 
 わたしは松井や井口の決断も、それはそれで尊重したいし、プロとして当然ありえることだと思う。松井はヤンキースで主力だけれども、ワールド・シリーズにはまだ縁がない。井口は昨年チャンピオンになったけれども、2年目もそうなるとはいえないし、第一、今年もホワイトソックスで活躍が保障されるとはいえない。下からも同僚からも当然突き上げられる。弱肉強食だから当然のこと。

 しかしイチロー(シアトル・マリナーズ)が日本に帰ってキャンプから一緒に日本代表として練習し、アジアラウンドからアメリカでの本戦までをともにしたのもまた、尊重できる。
 なぜなら彼は日本でもアメリカでも優勝という経験がない。個人記録なら十分すぎるほどの実績があるけれど、チームとして優勝を味わったことがない彼にとって、日本代表というものに「優勝」への渇望を抱いていたのもたしかだからだ。

 野茂英雄がメジャーにわたってから何度も、メジャーをみてきた。
 やっぱり基本的動作、投げる、走る、打つという点でけっして、アメリカは劣っていない。ヤンキースの内野手が腰を落としたまま、内野の奥深いところから(日本ならまず無理な位置から)送球するのを見たとき、かなわないと
思ったものだ。ホームベースでのあの迫力あるクロスプレーは、日本人では対応しきれるだろうか。へたをすると吹っ飛ばされかねない。
 けれども、アメリカはおおざっぱなプレーに頼っているという感じが否めないのもまた、たしかだ。 
 豪快なホームランも、スピードに頼った剛速球も魅力では、ある。
 が、ホームランばかりでは味気ない。いくらスピードの速い球を投げることができても、正確なコントロールがなければただの球でしかない。もちろんロジャー・クレメンスを代表例とするいまのメジャー投手陣がノーコントロールではない。しかし今回のアメリカ代表チームは、どちらかといえばビッグネームとパワーに頼った部分がある。加えて組織としてまとまっていたかどうか。
キャンプを切り上げて急きょ合同したような、そんなチームではたして、決勝まですすむことができたか。
 日本代表がイチローを中心にまとまっていたのとは対照的な、Beseballの母国の姿を、とても残念に思う。

 野球はやはり走って投げて打って、その総合だといえる。
 いくら力に頼っても、基本的なそれら動きがきちんとできていなければ、勝てない。決勝でも対キューバ戦で、三塁手の判断の遅れから内野安打につながったように、基本的な動作と判断が失点につながったことを忘れてはいけない。

 運営ではアメリカに有利になるような日程編成だったり、審判のレベルが低すぎて誤審どころか、そこまでして勝ちたいかとさえ言いたい、アメリカ代表チーム、相手は日本とメキシコだった。そんなこそくなことをしてまでBeseballの母国でありたいのか。むしろ堂々とぶつかってくれたほうがまだ、すっきりする。このへんがアメリカのずるいところだ。

 しかしアメリカは転んでもただでは起きない国でもある。
 今回初代王座を日本に奪われたことで、本気で挑んでくるはずだ。またそうでなければならない。繰り返すがBeseballはナショナル・パスタイムなのだ。

 これで日本がワールド・チャンピオンとなったのはバレーボール(男女、五輪)についで3競技目。2つ目はアメリカンフットボール。これはアメリカが不在でのワールドカップだった。1999年イタリア。2004年ドイツ。そして2007年には川崎で開催される第3回大会に、アメリカとカナダの参加が予想されている。どんなレベルか未知だけれども、アメリカを倒してこそほんとうのチャンピオンだ。

 アメリカの新聞も見出しに書いた。「野球がBeseballを超えた日」
 そう。
 日本が誇る、スピードとテクニックの野球。

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