光でお知らせ2006/01/12 00:02:55

お知らせランプ
 聞こえないという障害は見た目では分かりにくい障害であるとも言える。
 なにせ通じているかいないかという不安だけでも聞こえる人と聞こえない人のあいだに横たわる。そして通じていないという不安がお互いを理解しがたいものとして認識させますます、お互いの間にある壁が高くなっていく。

 聞こえないということをわかってもらうということも大事だが、同時にどうしたら聞こえないということを伝えられるか。

 これは職場につけたランプである。
 10年ほど前、アメリカ・オレゴン州を訪れたとき、宿泊先のホテルが「難聴者だから何かあったら困るだろう」と、ベッドサイドに光の点滅で、火災や災害の発生を知らせてくれるランプを設置してくれた。とても配慮の行き届いたサービスに感動したのだけれど、オレゴン州から隣のワシントン州を訪れたときに、訪問先から記念にといただいたのがこれである。
 写真では分かりにくいだろうが、振動で点滅するつくりになっている。
 ついたてに引っかけて固定してあるのだが、ついたてやランプ周りをノックすると振動で点滅し、人がきたと知らせてくれるのだ。
 
 難聴者やろう者にとって苦痛な状況はいろいろあるけれど、医療現場でのコミュニケーションやインフォメーションの獲得も難しい。手話ができる人ばかりではないから、声をかけてほしいなどお願いするにもつい、遠慮してしまう。

 写真撮影ができなかったのだけど人間ドックのため昨日訪れたある病院では、X線撮影の時に「息を吸ってください」「息をはいてください」と字幕の入った光で知らせてくれた。しかしこれも限界がある。X線撮影でからだの側面を撮影するときは、ランプが見えない。まさかからだをひねるわけにもいかないから、お年寄りは困るだろうな。

 けれどもないよりはあったほうがいい。
 なにげないようだけれど、ちょっとした工夫で、お互いの壁が一気に崩れてしまうこともあるのだ。